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シャフト (ゴルフクラブ選びの知識)
 
ゴルフ・クラブの性能、向き・不向きに影響を及ぼす要素は色々あるが、最も 重要な要素の一つが シャフトの仕様と性能である。自分に最適なクラブを選ぶ上で シャフトに関する知識が 不可欠なことは言うまでもない。

シャフトシャフトの種類、及び、特性 (仕様と性能) は その素材、重量、形状、加工・製造方法などによって異なるが、まず、その素材によって 一部に 例外的なものはあるものの、大きく (1) カーボン・シャフト (グラファイト・シャフトとも言う) と (2) スチール・シャフトに分類される。より遠くへ飛ばすことが目的の一つであるドライバーは ほとんどが (樹脂とセラミック・ファイバー、ウィスカーなどで作られる) グラファイト・シャフトになっているが、アイアンは遠くへ飛ばすことよりも 正確さが要求されるクラブで、相対的に重く 確りした感触の得られる (ステンレス鋼で作られる) スチール・シャフトの人気が高い。また、グラファイト・シャフトは相対的に高価なものが少なくなく、自分の望むスペックのシャフトが 極めて高価なものになってしまう可能性も否めない。

クラブの特性は シャフトの硬さ、長さ、重量、重量配分 (バランス・ポイント)、キック・ポイント (調子)、トルク、また、品質のバラつきなどに大きく左右されるが、加えて、シャフトとヘッドの相性やクラブ全体の重量とそのバランスなどにも大きく左右される。特に、クラブヘッドの重量、重心距離、重心角、そして、その慣性モーメントなどのシャフトとヘッドの相性への関与は大きい。

一方、ヘッド・スピードとスイングのタイプ、即ち、ヒッターかスインガーか (詳細後述) によってどのようなシャフトが向いているかは 概ね 決まると言える。 ヘッド・スピードが早く 力のある人、所謂、ヒッターは 硬くて、重くて、トルクの低いものが適しているし、ヘッド・スピードが早くても、スインガーと言われるタイプのプレーヤーは あまり硬くなく、トルクも中程度のシャフトが一般的に合っていると考えられている。また、ヘッド・スピードの遅い人は 逆の設定、つまり、軟らかくて軽め のシャフトを選ぶべきだろうし、ボールをより高弾道で打ちたい人は、ロー・キックポイントで先調子のクラブが合う可能性も高いだろう。また、アイアンでも グラファイト・シャフトや 軽量スチール・シャフトが オススメだ。(詳細後述)

シャフトの 「たわみ」 と 「ねじれ」 (フィーリングとパワーの決め手)


シャフトはダウン・スイングの時に鞭のように 「たわむ」 が、その力を上手く利用することで 同じスイングでも クラブ・ヘッドのスピードを 10% -15% 早くすることが出来ると言われる。そのパターンを 右図を使って説明すると (1) の腕がゆっくり加速しながら落ちて シャフトに力が 「たわみ」 という形で蓄えられるステージ、(2) の腕の動きの加速モードが終わって シャフトの 「たわみ」 が リリースされ始めるステージ、(3) のシャフトとクラブ・ヘッドがキックするような形でリリースされて 蓄えられた力が エキストラの力を生み出すステージ、そして、(4) の フォロースルーのステージに分けられる。

どのようなシャフトが合うのかを 単にヘッド・スピードだけで決められない理由は 主に この (1) (2) (3) で力が蓄えられ、その力が放出される リーリースとキックのパターンとタイミングが それぞれのスイングで異なるからである。前述のヒッターは (1) と (2) のスピードが比較的早いのに対して、スインガーの場合は (1) と (2) のスピードを抑えておいて (3) でクラブ・ヘッドのスピードを上げるスタイルだから、ゆっくりしたテンポのスイングになる。( グリップ・スピード) 加えて、シャフトの 「ねじれ」 方向への力、即ち、適正なトルクのシャフトの選択 (詳細後述) に影響を及ぼすと思われる 腕と手首の使い方、つまり、プロネーション、スーピネーションの程度やパターンも 個々のゴルファーによって異なるから シャフト選択の基準は極めて複雑になる訳だ。 参考

いずれにしても、この 「たわみ」 のリリースとキックが 最適なタイミングで 起きるようにし、且つ、「ねじれ」 方向の運動がコントロールし易いシャフトとヘッドの組み合わせを選べば良いことになる。上手くコントロール出きれば 「たわみ」 も 「ねじれ」 も大きい方が その生み出すエネルギーは 大きくなるという理屈になるが、「たわみ」 も 「ねじれ」 も大き過ぎればコントロールは し難くなる。また、クラブ・ヘッドの重さを 上手く感じるためにも 適度な 「たわみ」 と 「ねじれ」 が必要と考えられる。一般的には 柔らか目なシャフトの方がクラブヘッドの感触が伝わり易く、ドローを打ち易くなるが、柔らか過ぎれば ヒッカケや好ましくないフックが出やすくなる。逆に、硬過ぎるシャフトでは ヘッドの重さを感じることが出来ず プッシュアウトやスライスが出易いという傾向になる。

シャフトの硬さ (表示方法、ヘッド・スピードに合ったシャフトの硬さ)

シャフトの硬さは 基本的に 「たわみ」 の量に直結するものだが、柔らかい方から順に (J、L、A) R、(SR)、S、X、(XX) と表示される。硬いシャフトは 同じヘッド・スピードであれば 「たわみ」 が小さくなる理屈で、例えば、40 m/s 以下のヘッド・スピードの人は S 以上の硬いシャフトは 避けた方が良いといったような目安に使われる。

シャフトの硬さ

シャフトの硬さの測定方法には シャフトに重量をかけて そのたわみ量を計測するベンド測定法とシャフトのグリップ部を固定してクラブを振動させて その振動数を測定する 固有振動数測定法とがある。最近では R、S、X といった表示の他に この振動数を表す数値が シャフトに表示されていることが良く見受けられる。振動数が毎分 260 (CPM) であれば 6.0、また、270 であれば 7.0 といったように表示するのが一般的で、同じメーカーの同じタイプのシャフトであれば 5.5 のシャフトは 6.0 のシャフトより 柔らかいことになる。しかし、この方法では シャフト・ティップ (先) の特性を示す尺度にはならないなどの問題もある。そのような状況下、各メーカーが独自な方法でシャフトの硬さを表示しているのが現状で A社のシャフト S が B社のシャフト S よりも全般的に硬く感じるなどといったことがあるだけでなく、同じメーカーのシャフトでも、シャフトの種類によって硬さの感覚に違いが出るというような状況も見られる。つまり、シャフトの硬さの表示は、非常に 分かり難くなっているのが実態で、メーカーの表示は 参考値として使うべきだという考え方にもなっている。また、同じ S でも US スペックのクラブの方が 全体的に硬めなシャフトである といったようなことも言われている。

一方、メーカーによっては R 200、R 300、R 400 など という表記をするが、これは シャフト重量の (2g 単位) 違いを示すもので、R 200 は R 400 より軽く柔らかいシャフトであるということになり、そうした同じ振動数のシャフトの硬さの感触を表記するものという意味で こうした表記方法をサブ・フレックス (sub-flex) と呼んでいる。

トルク、キック・ポイント、重量の影響

なお、曲げではなく、ねじれ方向の硬さの指標となるトルク (torque) も シャフトの変形とクラブのリーリースに大きな影響を与える要素である。トルクの低いシャフトは スイング時の 「ねじれ」 が小さくなる訳だが、感覚 (フィーリング) 的には、同じ硬さ (stiffness) のクラブであれば、トルクの小さい、所謂、ロー・トルクのシャフトの方が 硬く感じると考えれば良いだろう。つまり、より硬い感じのするシャフトを 使いたければ スティッフで ロー・トルクのシャフトを 選べば良いことになる。一般的に、スチール・シャフトのトルクは 低く、アイアン用で 1.7 - 2.0、また、ウッド用では 2.5 - 3.0 といった範囲だから、トルクを ベースに選択する余地がないが、グラファイト・シャフトは そのバリエーションが大きく、選択の幅が広い。グラファイト・シャフトは 2.0 - 7.0 位までの製品があり (3.0 - 6.0 の製品が最も多い)、トルクが 3.0 以下のシャフトであれば、ロー・トルクのシャフトと考えて良いだろう。一般的に、ロー・トルクなグラファイト・シャフトは 高価なものが多いと言える。

また、キック・ポイント (調子) もシャフトの感触に大きな影響を及ぼす。通常は ロー・キックポイント (先調子) のクラブの方が相対的に柔らかく感じ、ボールが上がると考えれば良いだろう。最近は 調子が フライテッド (flighted) と表記されたクラブも多く見られるようになっているが、それは 所謂 フロー・デザインの一種で、ショート・アイアンでは手元調子、ミドル・アイアンは中調子、そして、ロング・アイアンが先調子といった具合に調整されたシャフトのことである。なお、キック・ポイントのことを ベンド・ポイント (bend point) とも言い、BP などと表記されることもある。

さらに、最近では シャフトの先端部 (tip) もしくは グリップ部 (butt) の硬さと トルクを意図的に硬く (ロー・トルクに) したシャフトも出回るようになっている。先端部の硬いシャフトは ティップ・スティッフなシャフトとか スティッフ・ティップ・シャフト (stiff-tip shaft) などと呼ばれ、ボールの吹き上がりを押さえる効果と 芯を外したショットのヘッド部の捻れを抑える効果があるなどと言われている。( ギア効果) また、スイング・テンポの早い、所謂、ヒッターには グリップ側が硬いバット・スティッフなシャフトが適しているとも言われる。

ドライバー用のグラファイト・シャフトで軽いシャフトは、40-55gで、重めなものは 70-90g クラスのものまである。しかし、日本で市販されているドライバーでは、シャフト重量が 50g 台のものが圧倒的に多く、やや重めなものが 60g台、そして、70g 台のシャフトまでは 一般に良く見かけるが、それ以上重いシャフトのクラブは 極めて少なくなる。 実際の商品情報

一方、アイアン用 スチール・シャフトは、カット前のシャフト重量が 90 - 130g のものが 最も一般的だが、最近では 80g 以下の超軽量スチール・シャフトも 出回っている。逆に、重いシャフトは 130g 以上のものまである。また、チタンのシャフトなども一部で利用されるようになっている。さらに、スチール・シャフトのバリエーションが 最近では増え、ライフル・シャフト (ステップのないシャフト) や手元がグラファイトで先はスチールのシャフト、さらには、シャフトの径やテーパーが従来のものとは異なったものなど様々なスタイルのものが出回っている。 アイアン用 スチール・シャフトの詳細

シャフトの重量に関しては 通常 重めのシャフトは トルクが低く、力のあるプレーヤー用の仕様になっていると考えれば良いだろう。最近のドライバーは 相当 きめ細かにシャフトの仕様を決めることが出来るので、十分配慮して最も自分にあ ったシャフトのクラブを選ぶようにしたいものである。 選択肢が増えた分、何が良いのか分からなくなってしまう面もあるが、クラブの重量やシャフトの仕様と特性、加えて、自分のスイングの特徴を (スイング解析のデータなども利用して) 理解すれば、何が自分に合うのかは おのずと見えてくるはずだ ドライバー選びとスイング解析

シャフトの歪とピュアリング

最後に、シャフト (特に、グラファイト・シャフト) の直線性や対称性 (真円度、板厚) といった観点からの歪について説明しよう。完全に真っ直ぐで真円、均一な板厚のシャフトを作ることは出来ないから、シャフトには そうした意味での歪がある。そうした歪のあるシャフトを無造作に装着するとスイング時のクラブ・ヘッドの向きや軌道に悪影響を与えることになり、安定性を欠くクラブになってしまう訳だ。ところが、その歪に対して ある方向に クラブヘッドを装着すれば 歪の影響は ほとんどなくなる という性質があり、その点に着目したのが シャフトのピュアリングという調整方法である。一般的には まだ あまり普及していないが、アメリカのツアー・プロの間では ピュアリング・プロセス (Puring Process) と呼ばれ、ほとんどの選手が利用するようになっているシャフトの取り付け方である。