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ツアープロの飛距離

Introduction

ワトソントッププロ達のドライバーショットの飛距離、即ち、ドライビングディスタンスは ボールとクラブの進化で飛躍的に伸びたが ここ数年は その伸びが止まったという観がある。米国ツアー (PGA) の場合、パーシモンのドライバーが使われていた 1980年代のドライバーの平均飛距離は 最も飛ばす選手でも 270ヤード台であったが、2003年以降の記録を見ると その数値は 殆どが 315 - 320ヤードになっている。つまり、飛ばし屋のドライバーの平均飛距離で比べると 40ヤード以上伸びている計算になる。

世界の飛ばし屋

下表は PGA のデータを基に作成したものだが これを見れば 1980年以降 ドライバーの平均飛距離が どのように伸びたかは 一目瞭然だ。1995年から 2005年までの 10年間に その飛距離は 飛躍的に伸びたが、ボールとクラブの進化が一段落した 2005年以降は #1 の選手の飛距離の伸びが全く見られないという状況である。しかし、ここ数年は 300 ヤード以上飛ばす選手の数が飛躍的に増えている。

年度 #1 選手
平均飛距離
#1 選手名 300ヤード
超の選手数
#50 選手
平均飛距離
#50 選手
フェアウェーキープ率
1980 274.3 Dan Pohl 0 名 261.0 66.1%
1985 278.2 Tom Purtzer 0 名 263.9 67.1%
1990 279.6 Andy Bean 0 名 266.4 68.6%
1995 289.0 John Daly 0 名 268.7 72.7%
2000 301.4 John Daly 1 名 277.5 71.5%
2001 306.7 John Daly 1 名 283.7 71.0%
2002 306.8 John Daly 1 名 285.0 70.8%
2003 321.4 Hank Kuehne 9 名 292.8 69.0%
2004 314.4 Hank Kuehne 15 名 292.1 67.8%
2005 318.9 Scott Hend 26 名 294.2 66.3%
2006 319.6 Bubba Watson 20 名 295.5 67.0%
2007 315.2 Bubba Watson 18 名 294.5 66.8%
2008 315.1 Bubba Watson 13 名 293.3 66.9%
2009 312.3 Robert Garrigus 13 名 293.1 66.8%
2010 315.5 Robert Garrigus 12 名 292.4 66.9%
2011 318.4 J. B. Holmes 21 名 296.3 64.8%
2012 315.5 Bubba Watson 21 名 294.7 64.4%
2013 306.3 Luke List 13 名 293.1 64.2%
2014 314.3 Bubba Watson 25 名 294.9 64.3%
2015 317.7 Dustin Johnson 26 名 295.1 65.3%
2016 314.5 J.B. Holmes 27 名 295.5 64.7%
2017 316.7 Rory McIlroy 40 名 298.3 63.7%
2018 319.7 Rory McIlroy 60 名 301.4 66.05%
表中 300ヤード超の選手数のコラムは 年間の平均飛距離が 300ヤードを越した選手の数

年間のドライバーショットの平均飛距離で 300ヤードを越す選手が初めて出たのは 1997年で、その記録は ジョン・ディリー (John Daly) によって作られたが (302.0ヤード)、その年の 2位は タイガー・ウッズで 294.8 ヤード、そして、3位の選手が 287.5ヤードという状況で 290ヤード以上飛ばしていた選手は 2人しかいなかった。

1990年代半ばまでは バラタカバーの糸巻きボール全盛の時代であったが、その後、ウレタンカバーのボールが出現し さらには タイトリスト Pro V1 で知られる マルチレイヤーソリッドコアタイプのボールが普及した結果、状況は大きく変わった。(» 詳細)もちろん、理想的な打ち出し角とバックスピン量の組み合わせを可能にした大型ヘッドのドライバーや高度なカーボングラファイトシャフトの製造技術の進化も(» 詳細)飛距離のアップに拍車をかけた。また、ゴルフスイング分析用のビデオカメラやソフトウェア、そして、ヘッドスピードやボールの挙動の測定機器などを比較的容易にフィッティング(自分に最適になるようクラブを調整すること)やトレーニングに導入できるようになったことも 全体のレベルアップを促したと考えられる。

その結果、ツアープロがプレーするゴルフコースの距離も伸びるという結果になった。例えば、マスターズの行われるオーガスタナショナルは 1997年大会で タイガー・ウッズが 2位に 12 打差の -18 (270) という記録で優勝した年は 全長 6,925 ヤードだったが、2000年に それが 6,985ヤード、そして、2001年から 2005年の間に 7,270 - 7,290 ヤードという距離設定になり、2006年に 現在の 7,445 ヤードのコースになった。昨今のツアープロは 500ヤード以上のミドルホールをプレーしなければならないことも珍しくなくなった。そのような状況下、飛ばせることが有利なことは言うまでもないが 比較的 飛距離の短い選手が 活躍していることも 事実である。例えば、2008年のデータでは、ここ数年 世界のトップ 10 の座を維持してきた Jim Furyk (272.4ヤード、165位)、2007年 マスターズ・チャンピオンになった Zack Johnson (275.1ヤード、181位) のような選手も居る。

少し古いデータだが 2009年のマスターズのデータを見てみよう。各選手とも 5番ホールでは ボールを飛ばしていくので そこで 最長飛距離のドライバーショットを記録するが、その飛距離を比べたものが 以下のテーブルだ。ババ・ワトソンは(飛ばしたいこのホールで)349 ヤードも飛ばしている。(表の下は ババ・ワトソンの ドライバーショットの動画)

選手名 ドライバーの最長飛距離
Bubba Watson 349 yards (5番ホール)
Phil Michelson 337 yards (5番ホール)
Tiger Woods 322 yards (5番ホール)
Angel Cabrera 315 yards (5番ホール)
石川遼 306 yards (5番ホール)
片山晋吾 300 yards (5番ホール)
今田竜二 288 yards (5番ホール)
2009年 マスターズのデータ

日本選手の状況

大雑把に言えば、日本のツアープロの飛距離は 以下の表から分かるように 世界のレベルに比べると 約15ヤード 短いと言っても良いだろう。ただし、日本のトーナメントは 気候的に 温度が低く湿度が高いので 気温が高くドライな アメリカのデータとは条件が違うのも事実である。また、1995年の尾崎将司選手の記録は アメリカで飛ばし屋として知られるジョン・デイリーの記録と比べても 僅かに 1.3ヤード 短かったものの 遜色のないものだったことが分かる。因みに、石川遼選手の平均飛距離は 2010年が 296.8ヤード(日本 3位)、そして、2011年は 293.7ヤード(日本 10位)だったが、2014年 291.0ヤード(PGA 80位)、2015年 289.2ヤード(PGA 100位)となっている。一方、このところ活躍している松山英樹選手は 2014年 294.8ヤード (PGA 51位)、2015年 294.5ヤード (PGA 57位T)、2016年 294.5ヤード (PGA 65位) であったが、2017 / 2018年には 302.9 / 302.0ヤード (PGA 27 / 49位) と飛距離を伸ばしている。なお、2015年の賞金王になったジョーダン・スピースは その年に 291.8ヤード(PGA 78位T)と松山選手より飛んでいない。

年度 #1 選手
平均飛距離
#1 選手名 300ヤード
超の選手数
#50 選手
平均飛距離
#50 選手
フェアウェーキープ率
1995 287.7 尾崎 将司 0 名 267.3 -
2000 293.5 小山内 護 0 名 269.7 -
2005 303.0 小山内 護 2 名 282.5 54.5%
2010 304.3 額賀 辰徳 2 名 280.1 51.2%
2011 299.2 K. バーンズ 0 名 279.5 52.1%
2012 305.9 額賀 辰徳 1 名 282.9 53.7%
2013 298.3 B. ジョーンズ 0 名 279.4 53.9%
2014 299.2 I. H. ホ 0 名 278.8 55.6%
2015 298.9 額賀 辰徳 0 名 275.9 55.7%
2016 311.3 C・キム 2 名 277.4 54.8%
2017 314.2 C・キム 2 名 283.9 53.7%
2018 302.9 額賀 辰徳 3 名 283.8 54.6%

世界との差は 飛距離だけでなく、フェアウェイキープ率の違いにもあることが分かる。コース設定が同じではないので 一概には比べられないのであろうが アメリカツアーと日本ツアーの差は キープ率にして 10% ポイント程度の差がある。

女子プロの飛距離

女子プロ・ドライバー・ショット女子 (LPGA) の場合も 道具の進化と共に その飛距離は伸びた。最近の記録を見ると 飛ばし屋の選手は 平均飛距離が 270 ヤード越えをする選手も居るが、男子のケースとは異なり、日米の格差は少ない。一方、世界のレベルでは 男子との差が 約30 〜 40ヤードであるが、女子の最も飛ばす選手は 男子の最も飛ばさない選手と ほぼ同じか それよりも 少し飛ぶと言う状況である。

かつての女子の飛ばし屋には アメリカでは ローラ・デービス (Laura Davies) ミッシェル・ウィー (Michelle Wie)、日本では 福島晃子選手などが居て こうした選手は 男子の比較的飛距離の短い選手をアウトドライブする飛距離を持っていた。その他、過去に活躍した女子のトップ・プレーヤーの多くも飛ばし屋である。アニカ・ソレンスタム (Anika Sorenstum) ロレーナ・オチョア (Lorena Ochoa) などは 全て 260ヤード以上の平均飛距離を誇った選手である。近年は 女子の飛ばし屋は 280 ヤード前後を飛ばすようになっている。

年度 #1 選手
平均飛距離
#1 選手名 260ヤード
超の選手数
#50 選手
平均飛距離
#50 選手
フェアウェーキープ率
2005 270.3 Brittany Lincicome 8名 250.2 75.4%
2010 274.5 Michelle Wie 13名 250.5 68.4%
2011 277.3 Brittany Lincicome 20名 251.1 73.5%
2012 276.1 Brittany Lincicome 19名 252.8 73.6%
2013 274.9 Nicole Smith 14名 251.3 74.4%
2014 271.5 Brittany Lincicome 11名 252.1 75.8%
2015 274.4 Joanna Klatten 15名 252.4 74.9%
2016 281.4 Joanna Klatten 35名 257.4 73.1%
2017 279.3 Maude-Aimee Leblanc 29名 256.1 76.0%
2018 275.0 Yani Tseng 31名 256.5 74.4%

なお、宮里藍選手は どちらかと言えば飛ばないプレーヤーのイメージがあったが そうでもなく 2013年は 242.5ヤード(101位)。一方、上田桃子選手は 2008年に 256.9ヤード (22位) だったが、その後は 240ヤード台の距離で推移している。日本選手では福島晃子選手に続く 有名選手の飛ばし屋として、穴井詩、葭葉ルミなどが居り 平均飛距離も 260ヤード前後のレベルである。因みに、渋野日向子は 2019年の全英女子オープンの後の週の時点で 245 ヤード (15位) 1位の穴井詩との差は 13 ヤードである。

Q スクール・最終テスト

Q スクールの最終テストと言っても、実は、そこまで進むのは 容易なことではないのだ。一般挑戦者の場合、それぞれ 4ラウンドのストロークプレーのテストからなる 何と 3回のテストに合格する必要がある。即ち、1) 予備テスト (Pre Qualifying)、2) 一次テスト (First Stage)、3) 二次テスト (Second Stage) といった具合だ。ただし、それぞれのテストに不合格になっても、あるレベル以上の成績を残せば、翌年の一部のテストが免除されると言うような恩典が受けられるから、全ての挑戦者がこの 4段階のテストを受けている訳ではない。毎年、二次テストに進むプレーヤーの数は 500人弱で、その 4ラウンドのストロークプレーの上位、他 160人前後が 最終テストでプレーしていたが、2013年からは 144人前後になった。ただし、ファイナルでプレーした選手には 最低でも コーンフェリーツアーの条件付シード権が与えられる。Q スクールで上位になればなるほど 資格 (priority ranking position) が上位になり、翌シーズンに より多くの質の高い試合に出場できるという仕組みである。

いずれにしても、アメリカの Q スクールは PGA ツアープロでシード権がなくなる選手や外国のツアープロなどが 多数参加するので 極めて難しいテストである。それでも、最終的に PGAツアーに参加できれば、マネーランキングが 125位でも その年間賞金獲得額は 1億円を超えるので 一攫千金の観がある。また、アメリカには コーンフェリーツアーの下のレベルのミニツアーと呼ばれるものもあり、トーナメントプロの層は厚く、ほとんど無名だった選手が PGA のツアーで優勝するシーンを見ることも珍しくない。

その他 ツアーの現状

一方、アメリカの女子ツアー (LPGA) の場合も類似のシステムが採用されており、マネーリストの 100位/125位以内に入ることが 男子のフェデックス ポイントの 125位/150位に入って シード権を確保するの条件と同じ役割を果たしている。ただし、Q スクールは かつての男子の方法に類似したシステムだ。二部リーグの Symetra Tour (Volvik Race) の前年度の成績上位 10人の選手に加えて、2箇所で行われる Q スクール Sectional Test の それぞれのトップ 30位タイを含む、80人前後の Q スクールファイナル出場選手の中から トップ 40位タイまでの選手に シード権が与えられる。

日本女子ツアー (LPGA of Japan) も同様のシステムを採用している。ただし、賞金シードは 上位 50位まで(QT は上位 35位まで)が 翌年のシード権を獲得できるシステムで、下部ツアーは ステップアップ ツアーと呼ばれている。他方、日本の男子ツアーは 99年に JPGA(日本プロゴルフ協会)から独立した JGTO(ジャパンゴルフツアー機構)と JPGA での資格認定試験があるため そのプロ認定試験は 極めて分かりにくいものになっている。JPGA が現在認定しているプロ ゴルファー資格には トーナメントプレイヤー(TP)と ティーチング プロ(TCP)の 2種類ある。トーナメントプレイヤー資格取得のためのテストは 毎年 1回実施されるが、そのテストは 4段階から構成され、最終プロテスト 4ラウンドのトータルスコアで上位 50位までが合格するという形式である。しかし、実質的に 主要トーナメントの管理、運営を行っている JGTO のプロテストは これとは別に実施されるので そちらのテストに合格することが トーナメント出場権を獲得するテストとしては重要だ。 なお、2015年から JGTO のシード権に関する新たな制度が導入された。それまでの 賞金ランク 70位までが 翌シーズンのシード権を確保するという制度から 賞金ランク 60位までは「第 1 シード」 、61-75位は「第 2 シード」という制度になり、第 2 シードの選手は 前半戦の多くの試合は出場できるが フォールシャッフルと呼ばれる リランキングの対象になり 中盤までの成績次第では 終盤の試合に出られなくなる制度である。

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