ゴルフボールは その大きさが直径で 42.67mm 以上、重量は 45.93g 以下 と規則で定められており、その表面には ボールが遠くに飛ぶように考案された 300 - 400 個 程度の 小さな窪み (ディンプルと呼ばれる) がある。また、ゴルフボールを 規則で定められた条件下で 打った時の初速と標準総合距離 (キャリーとロールを合わせた飛距離) は 一定の基準値を超えてはならないと定められており、極端に飛ぶ ボールは公式球としては認められないことになっている。
ゴルフボールは初め羽毛を皮で包んだ手作りで 右図 (1) のようなものが使用されていた。その後、1848年にガッタ (Gatta または Gutti とも言われる) という量産できるボールが現れたことが ゴルフの発展を大きく促したと考えられている。初めは表面がスムースであったが、後に 表面にキズを付けるとより飛ぶことが判明し、表面にメッシュの付いたものや小さないぼいぼ状の突起がついたボールなどが普及した。そして、1898年にはゴムのボールが始めて使われるようになり、1901年に Haskell rubber-core ball というボールが出現し ゴルフを大きく変えていった。当時のボールの表面には上図 (2) のような いぼいぼ状の突起が施されていた。現在のボールのようにディンプルが使われるようになったのは 1908年からと言われている。その後、1930年に 始めてゴルフボールの規格が全英ゴルフ協会によって確立され、さらに 時を経て、現在のボールの規定が定められるに至った訳だ。
一方、現在は多種多様な ゴルフボールが市場には出回っている。例えば、インターネット・ゴルフショップ最大手の GDO ゴルフショップ で売られているボールの数を見てみると 2011年 12月現在で 492 アイテムもある。これには同じボールの色違いと言ったものまでが含まれるが、ここで市場に出回っているボールのほとんどが販売されている訳でもないから、本当に沢山の種類のボールがあるということだ。 主要メーカー・ゴルフボール一覧
ゴルフボールの選びの基礎知識
そうした中、ゴルフボールの選び方について 明確なアイデアを 持っている アマチュア・ゴルファーは 案外少ない。何となくで選んでいる人が多いようだが、やはり、それぞれのゴルファーに合ったゴルフボールがあると言うのは紛れのない事実である。合理的で賢いボール選びをする上で 必要なことは、(1) どんなタイプのボールがあるのか知ること、そして、(2) 異なるタイプのボールがプレーに及ぼす影響は何か、また、ボールの価格はどうかということを理解した上で ボール選択の基準とその優先順位を どうするかを 考えることである。
(1) ボールのタイプ |
(2) ボール選択の基準 |
(A) ワン・ピース・ボール (練習場用)
(B)
ツー・ピース・ボール・ディスタンス系
(C) ツー・ピース・ボール・スピン系
(D) 多層構造のウレタンカバー・ボール
(E) 多層構造の非ウレタンカバー・ボール
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(a) 飛距離 (スイングとのマッチング)
(b) 直進性 (サイドスピンの影響)
(c)
バックスピン (ショートゲームでの)
(d) 打感 (ショートゲームでの)
(e) 価格 |
この表の内容を見て まあ こんなものだろうと思った人、また、へぇーと思った人など、ゴルフボールに対する知識は人それぞれで 異なると思うが、前述もしたように ゴルフボールにはルールで定められた規格があり、その規格に準じたボールだけが 通常は 売られている訳だ。つまり、極端に飛ぶ ゴルフボールというものは公式ボールになり得ないと言うこと。にも拘らず、ボール・メーカーは 当社のボールは良く飛ぶ といったニュアンスの宣伝を 盛んにしているのだ。
有名メーカーのボールの ドライバー・ショットの飛距離を 40 - 45m/s くらいのヘッド・スピードで比較した場合、類似スペックのゴルフボール間での飛距離の差は (スイング・パターンやドライバーのスペックにも影響されるが) 最大 5ヤード程度と考えて良いだろう。つまり、特定のボールがオールマイティーに飛ぶということではなく、自分のゴルフ・スイングの場合、こんなスペックのボールが飛距離を伸ばすのには良いという考え方をすべきなのである。別の言い方をすれば、ドライバーの飛距離を気にしている人は、自分のドライバ・ショットのヘッド・スピード、打ち出し角、バック・スピン量などから 最適なスペックのボールを探し出すことが出来ると言うことだ。
ゴルフボールの進化の歴史を見ると スピン性能と飛距離は 相互に相反する性能で、スピンを重視すれば 飛距離は犠牲にしなければならないという時代があった。十数年前までのバラタ・カバーの糸巻きボールを ツアー・プロが使っていた時代である。近年も (低価格のボールでは) その傾向は多少残っているものの、スピン性能に優れ、飛距離も出るボールが 比較的高価ではあるが 売られるようになって 状況は大きく変わった。飛距離が ほぼ最大値であるにも拘らず スピン性能やコントロール性能に優れたボールが 近年は 買えるようになったのである。
いずれにしても、ゴルフボールは個々のヘッド・スピード、スイング・パターン、プレイング・スタイル、打感の好み、そして、予算などを 考慮して選ぶことで 最も満足度の高い買い物が出来ると言うことだ。例えば、バックスピンでボールを止める ということを意識してプレーをしない人が スライスに悩んでいるのであれば、ツアー・プロが使うような高級なボールではなく 比較的安く買うことの出来るツー・ピース・ボールの中から パットやチップショットの感触が良いと思われるボールを選べば 良いと言うことになる。
そこで、以下に どのようなタイプのボールがあるのか、そして、自分のニーズに合ったボールとは一体どんなボールなのか と言うことを さらに 詳しく解説することにする。
ゴルフボールのタイプ (構造と材質)
ゴルフボールの性能、特徴、品質、そして、価格などは ボールの構造 (下図参照) と それを構成する材料で ほぼ 決まるが、その構造は ほとんどが 以下の何れかのタイプになる。

構造的には (練習場で使われるワンピースのボールは例外にしても) ツーピースのボールが 最も シンプルで 経済的に 製造出来るが、望ましい性能や特徴を持ったボールを作ろうとすると スリー・ピースやフォー・ピース、場合によっては それ以上の多層構造のボールになる訳だ。
ゴルフボールの良し悪しは 基本的に スピン性能、打感、正確さ、飛距離 (芯をはずした時の距離も含め)、直進性/コントロール性能、耐久性などで決まると言える。正確さとは まっすぐに打ったショットやパットが曲がらずに 正しい距離転がったり、飛んだりすることを言う。例えば、ボールの重心が中心からずれていたりすると正確さがなくなるものだ。高級ボールはほとんど これら全ての項目において 優れているが、最も違うのは スピン性能、コントロール性能と打感である。柔らかいタッチが出せ、必要な時にバックスピンを 利かせたり、フックやスライスをかけてボールを曲げたり出来るなど、ショートゲームやコントロール・ショットなどで その性能の差が 大きく出る。サイドスピンが多くなってボールが曲がるとか、曲がらないと言った、直進性とコントロール性能もボールを選ぶ時に注目すべき特性の一つだが、スライスを減らしたければ、コントロール性を犠牲にしてスピンのかかり難い、直進性の高いボールを選べば良いことになる。一方、ウェッジでフルショットをしたら カバーが簡単にささくれてしまうようなボールは 耐久性という観点から好ましいものではないのである。
さて、最も 良く出回っているボールは 手頃な価格 (1,000円 から 2,000円/ダース位) で買うことの出来る ツー・ピース (二層構造) でアイオノマー・カバー (サーリンなどとも言う) のボールである。アイオノマーは 全般に 硬めだが、耐久性に優れる素材だ。ツー・ピースのボールは さらに カバーやコアが硬めのボール、即ち、ディスタンス系のボールとカバーやコアが柔らかめなスピン系のボールとに分類される。ただ、ディスタンス系のボールは、スピン系のボールと比較すると (同じモデルでは特に) 多少 飛ぶ傾向にあるが、前述したルール上の規制もあるから、その差は比較的小さいのが実情だ。飛ばしたいからディスタンス系のボールを使うという人は もう一度 ディスタンス系のボールが本当に自分に合っているのかを見直してみるのも一案だ。
ディスタンス系のボールは そのバックスピンの量を抑えてドライバーショットの飛距離を 伸ばすという概念で作られていると考えて良いだろうが、バックスピン量が飛距離低下の大きな原因になっていない、もしくは、スピン系のボールを使っても スピン量が ほとんど変わらないのであれば、残るメリットは サイドスピンがかかり難く、スライスやフックの量を抑えることが出来る特性だと言えよう。個人差があるから 一概に ディスタンス系のボールとスピン系のボールの飛距離の差は少ないとも言えないが、機会を見て 自分のドライバーショットのボールの挙動 (バックスピン量と飛距離の関係) を そうした観点から チェックしておくと良いだろう。なお、そうしたバックスピン量は ボールだけではなく ドライバーのヘッドのデザインやシャフトの特性にも影響されるから、その点も考慮して自分のデータをチェックする必要があるだろう。 バックスピンの秘密
いずれにしても、ドライバー・ショットのバックスピン量が大き過ぎる人は ゴルフ用具 (ドライバーとボールの組み合わせ) の工夫次第で 飛距離を伸ばせる可能性が高いと言うことになるが、ディスタンス系とスピン系のどちらを選択すべきかは、パットやチップ・ショットなど ショートゲームでのフィーリングについても ジックリ考え、総合的に判断して決めて欲しい。
一方、プロや上級者が好んで使用するボールは スリー・ピースかフォー・ピースの (最近は ファイブ・ピースのボールも売られているが) コア、ケース、カバーという構造で (上図参照) マルチレイヤー・ソリッドコア (MLSC) と呼ばれるタイプのボールで カバーにウレタン樹脂を使用したものだ。そうしたボールの価格は 通常 ディスカウントで買えるようなところで購入しても 5,000円/ダース 前後する かなり 高価な ものである。
具体的には、タイトリスト Pro V1、ツアーステージ X01、ブリヂストン TOUR B330、スリクソン Z-STAR、キャロウェイ TOUR i、ナイキ (Nike) ONE や 20XI、テイラーメイド FIVE TP ( 更に 詳細を見る) といったボールだが、そうしたボールでは ドライバー・ショットのバックスピンを抑えながらも ウェッジやショートアイアンのバックスピン量が大きくなるよう コアの硬さ (コンプレッション) や カバーの柔らかさ (Shore D という数値で良く表示されるもの)、そして、その組み合わせに工夫がなされている。最近は コアのコンプレッションが中心と表層で違うものや二層から成るコアのコンプレッションと比重の異なるボール (例えば、Nike 20XI) なども売られるようになっている。
加えて、近年は ウレタン以外の素材で打感と 飛距離を重視した多層構造の高級ボールも出回っている。タイトリスト VG3、グランゼ (GranZ)、ツアーステージ ファイズ (PHYZ)、ゼクシオ NEW XXIO Premium、キャロウェイ LEGACY、ナイキ ONE VAPOR、ミズノ MP-8 などが そうしたボールである。この手のボールは スピン性能が (元々それが売りではないものも多く) ウレタン・カバーのボールに比べ やや劣るのが一般的であったが 最近では そうした性能が ウレタン・カバー・ボール並みという ハイ・パフォーマンス・ボールも 出現している。 更に 詳細を見る
いずれにしても、ボールがグリーン上で戻るようなスピン性能は ボール表面の樹脂がクラブフェースの溝、即ち、グルーブに変形して入るような形になって始めて得られるものであるから、そうした樹脂の柔らかさのないアイオノマー・カバーとそれが可能なウレタン・カバーのゴルフボールでは ウェッジ・ショットなどで 決定的なスピン量の差になって現れる。 バックスピンの秘密
構造 ・ カバー |
アイオノマー |
オリジナル樹脂 |
ウレタン |
2 ピース
(二層構造) |
安価で 飛距離、直進性、耐久性は優れている。ただし、スピン性能と打感は 劣る。 |
打感や直進性はまずまずで 価格的にも魅力だが、耐久性、スピン性能などが劣るか。 |
あまり 一般的でないが、スピン性能と打感はまずまずで 価格的には 魅力。 |
マルチ・ピース
(多層構造) |
ソフト・アイオノマー・カバーが中心。飛距離、直進性に優れるが スピン性能は 少し劣る。 |
直進性、飛距離、打感に優れており、スピン性能も まずまずだが 価格は かなり高い。 |
スピン性能と打感に最も優れており、飛距離も犠牲にされていないが 価格は高い。 |
自分のニーズに合ったボール選び
上級者に その性能と品質で人気の高いウレタン・カバーの MLSC のボール(例えば、タイトリスト Pro V1) などは、確かに そうした人達には 魅力的なボールであろうが、価格も それなりに高い。一方、セールで 3,000 円前後で手に入る ウレタン・カバーの MLSC のボール (例えば、キャロウェイ TOUR i) などもある。個人的に打感が気に入らないとか 飛びに多少の差があるかな という感触の差はあるかも知れないが (実際の性能の差は微妙)、最高級のボールと同等のものと言えるから、価格に敏感な人は セールのウレタン・カバー MLSC ボール を探して買えば良いだろう。
一方、クラブのヘッドスピードが低い、女性やシニアプレイヤーにあったツーピースのゴルフボールもある。一般的には、コンプレッションの低いボールで、ボールが上がり易いディンプル・パターンのものだ。(例えば、SRIXON ソフトフィール レディス)上級者で、価格に敏感な人の中には、ソフトな感触の得られるこうしたボールを使う人も居り、意外と色々なユーザーに使われているボールで、米国では、Precept
の女性用ボール MC Lady のようなボールが 価格に敏感な一部の上級者に比較的良く使われた。
ヘッドスピードのあるプレイヤー用には ドライバー・ショットのボールの回転が低く抑えられるようなボールの構造にし、高い打ち出し角で ボールを打ち、ボールの回転を抑えることで距離を出すという考え方が基本である。従って、こうした考え方で作られた最新のゴルフボールを昔のゴルフクラブで打っても良い結果にはつながりません。比較的古い、ロフトのあまりないクラブを まだ使っている人が、こうしたボールを打ってもボールが早くドロップしてしまう可能性が高いので、注意してボールを選択して欲しい。
ボールの軌道は スイング軌道、クラブのロフトと重心、芯のはずし具合、ボール表面の素材の柔らかさ、コアの構造と材質、ディンプルのパターンなどに影響されるが、飛距離の面からは、自分のスイング・スピードとタイプ、クラブのロフトや重心、また、シャフトの特性なども考えてボールを選ぶようにしたいものである。ヘッドスピードのない人は、球がドロップしないようなディンプル・パターンで低いコンプレッションのゴルフボールを選ぶと良い。例えば、ヘッド・スピードの速い人で飛距離に拘っている人は タイトリスト Pro V1 でなく タイトリスト Pro
V1x を選ぶべきだが、ヘッド・スピードのあまりない人に V1x は 不向きなボールである。
なお、MLSCのゴルフボールは 芯をはずした時にロスする度合いが低いということも利点の一つだ。また、ディンプルの数は 270-450 が良いとされているが、最近の傾向は、浅いディンプルでその数が少な目になっているようだ。ディンプルは浅めで、数を多めにするとボールが高く上がる傾向にあり、ハードヒッター用には ディンプルの数を少な目にするのが一般的。
最後に、プレーに影響を与えない範囲で、ボールのコストをセーブするためには、2つの方法が考えられる。一つは、モデルチェンジに伴うクリアランスセールなどを利用する方法。もう一つの方法は ロスト
(ユーズド) ボールだ。グレードの高いロストボールは、ほぼ、新品同様で、価格が
5-6割程度だし、少し傷のついたものなどは 4割程度の値段だから、結構オススメ。
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