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2016年 全米オープン ルール裁定騒動

このページのコンテンツ
• はじめに
• USGA のルール裁定に係わる説明
• 規則 18-2
• ルール裁定に係わる新たな規定
• プレー中に ボールが動いた時
• 商品リンク(用品、メーカー別)

はじめに


2016年 全米オープン 最終ラウンドの 5番ホールのグリーン上での出来事が物議を醸している。ご存知の方が多いと思うが、優勝争いをしていたダスティン・ジョンソンのボールが パット直前に僅かに動いたため 同選手が 即刻 その場に居たルール委員を呼んで判断を仰ぎ ノーペナルティが言い渡された。しかし、そのルール委員が無罰の裁定を下したビデオを USGA は レビューした結果、ホールアウト後に ビデオ画像で確認し(以下のハイライト・ビデオ参照)本人からの事情聴取もした後に 1打罰を科す可能性がある旨 12番ホールでプレー中の同選手に告げた。結果的には ジョンソン選手が 2位以下に大差を付けたため 優勝に影響する裁定にはならなかったが USGA は 最終的に 同選手に 1打罰を科したのである。だが、その 1打罰の妥当性に対する疑問に加え、同選手への当該ルール裁定に係わる可能性の通達方法やタイミングに疑問を投げかける人が多数出たため USGA は その後に異例の追加説明を発表した。


USGA のルール裁定に係わる説明


USGA の異例の追加説明(抜粋)は 以下の通りであるが、今回の裁定に係わる説明の趣旨は: (1) ルール違反が疑われる時に ラウンド終了後、スコア提出がなされる前に ビデオの証拠について選手と話し合ってから 競技委員が最終的な裁定を下すことは 普通に行われていることである。(2) 当該裁定に関係する全ての証拠を検証した結果、ボールが動いた理由が選手の取った行動に起因する可能性が(そうでない可能性よりも)高いと判断するのが妥当である。の二点である。

前略 ... It is normal for rulings based on video evidence to await the end of a round, when the matter can be discussed with the player before the score card is returned.(中略)

In applying Rule 18-2, which deals with a ball at rest that moves, officials consider all the relevant evidence – including the player’s actions, the time between those actions and the movement of the ball, the lie of the ball, and course and weather conditions. If that evidence, considered together, shows that it is more likely than not that the player’s actions caused the ball to move, the player incurs a one-stroke penalty. Officials use this “more likely than not” standard because it is not always apparent what caused the ball to move. Such situations require a review of the evidence, with Decision 18-2/0.5 providing guidance on how the evidence should be weighed.

Our officials reviewed the video of Dustin on the fifth green and determined that based on the weight of the evidence, it was more likely than not that Dustin caused his ball to move. Dustin’s putter contacted the ground at the side of the ball, and almost immediately after, the ball moved.(後略)

以上の判断基準で競技委員は ボールは選手の取ったアクションによって動いたか否かという疑問に対して “more likely than not” と結論つけたが、その説明には ジョンソンがボールの横に パターをソールして そのすぐ後に (almost immediately after) ボールは動いたので ペナルティが妥当だと説明している。しかし、選手は自分が動かす原因を作ったとは思えないとコメントしているし、その他の証拠は全国に流れたビデオの画像だけで、そのビデオを見る限り、USGA の裁定の説明とは真逆のことを感じる人が多いはずである。ゴルフ関係者の多くは(その是非については語らない人も少なからず居ようが)この裁定は誤ったものだと考えているようだ。

規則 18-2


規則 18-2「止まっている球が動かされた場合」は プレーヤー自身がアドレスをした時に うっかりボールを動かしてしまったり、ボールの側にある石や小枝など、ルースインペディメントを動かそうとしてボールが動いてしまう場合の罰則を定めており、そうした場合は 1打罰で、ボールを 元の位置に戻してプレーする必要があると定めている。しかし、これに関連する例外規定として、プレーヤー自身がボールを動かしていない場合でも プレーヤーがアドレスをした(スタンスを取って ソールを地面に付けた)後に ボールが動いた場合には 自分でボールを動かした場合と同じ処置をする必要があり、ペナルティも同様に科されるというルールがあった。しかし、2012年のルール改訂で 自分が動かしていないことが明らかな場合は 無罰で ボールが止まった所からプレーを続行することになったという経緯がある。実は 今回のケースは その新ルールに従って、ジョンソン選手がプレーをした訳だ。(古いルールでは ボールの後ろにクラブをソールしてアドレスをしたら どんな理由でも その後にボールが動けば ペナルティーの対象になった。)いずれにしても、ジョンソン選手は ボールの(後ろではなく)横にソールをして練習ストロークをしたが、ビデオを見る限り それがボールを動かす原因になったとは考えられないと思う人が多いことが物議を醸しだした理由の一つである。

ルール裁定に係わる新たな規定


ボールは選手によって動かされたという一打罰の裁定に加えて、問題になっているのは 5番ホールでボールが動いたことが 1打罰につながるかも知れないという、一度下されたルール裁定を変える可能性があることを優勝争いをしているジョンソン選手に プレー中の 12番ホールでルール委員が伝えたことである。必要以上に曖昧な状況をジョンソン選手にも 他選手にも 視聴者にも与えたことは 疑問視されても仕方のない処置である。

優勝争いをしていた選手ならではの裁定だったとも言えようが、今回のようなケースは(ルール委員が居ない場合は仕方がないとしても、ルール委員がその場に居た訳だし、新たな証拠が後から出た訳でもないから)出来る限り 最終的なルール裁定が その場でなされることが望まれたはずだ。他のスポーツにおいても ビデオ判定はあっても ゲーム終了後に ビデオを見て最終的なルール裁定が下されたり、その時点でなされた裁定が覆されるようなことは 起こらないはずである。つまり、こうしたことが起きないようなルール裁定に係わる新たな規定が設けられる必要があると言わざるを得ない事例が起きた訳だ。USGA/R&A が この事件をきっかけに ルール変更をするか否かが注目されるが、最終的な決着がどうなるかは 不透明な状況である。

プレー中に ボールが動いた時


以上のような ビデオ・レビューがなされるルール裁定は アマチュア・ゴルファーの競技では 本当に 大きな大会を除きない訳だが、ボールが動いてしまった時の処置に係わるルールについては 熟知しておく必要があるはずだ。今回の全米オープンの事件をきっかけに 当該ルールについては言うまでもないが(» 詳細)他のルールについても 確り 学ぶことを心掛けて欲しい。




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