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日本のゴルフ場が消えていく危機


ゴルフ業界の 2015年問題、即ち、2015年頃から ゴルフ人口の長期減少化の影響が顕著になり、倒産するゴルフ場が続出しかねないという問題を ご存知だろうか。その背景には少子化によってゴルフ対象人口が減少するという問題もあるが、団塊の世代の高齢化や若者のゴルフ離れが大きく影響すると考えられているからだ。2016年は 2011年に比べ、ゴルフ人口が 17%減、ゴルフ施設入場者数で 10%減という試算もある。

実は、日本人の約 35%、概ね 3人に 1人 はゴルフの経験者である。しかし、現在も 継続してゴルフをしている人はその約 2/7、全体の僅か 9% 程度である。つまり、100人中に 35人ものゴルフ経験者が居るものの、その内の 26人は止めてしまい、以前はしていたが 現在はしていないという状況になっているのだ。言うまでもなく、止めてしまった理由に 経済的な負担を挙げる人は多い。また、ゴルフ未経験者に ゴルフをしない理由を尋ねると、その回答のトップは お金がかかりそうだからで、ある調査ではその割合が 62.4% にも達している。

近年、ゴルフ料金は需要が低迷する中、供給過多が顕著になり始めており 一時に比べれば遥かに手頃になったものの、それでも まだまだ 高いと感じる人は多く、ゴルフ人口減少の最大の理由になっている。因みに、ある調査では ゴルフコースを選ぶ際に重視するものは何か? との質問に、回答の上位二つは (1) 価格が手ごろ (77.8%)、(2) アクセスが良い (58.7%)であった。

ゴルフ料金が高止まりする大きな理由の一つに 税金がある。ゴルフ場が支払ったり、徴収している税金は多い。主なものだけでも、ゴルフ場利用税、消費税、固定資産税、法人税がある。ちょっと古いデータだが、日本ゴルフ場事業協会(NGK)による平成 6年の調査では 1コースあたりの固定資産税の平均納税額は約 1603万円だったそうだ。

しかし、どう見ても理不尽で、最大の負担になっているのはゴルフ場利用税である。ゴルフ場利用税は地方税法に基づき ゴルフ場が所在する都道府県が ゴルフ場を利用する人に対して 1日当たりの定額で課す税金である。(ゴルフ練習場は その対象外)我々が ゴルフ場でプレーする時に支払う料金には消費税が課されるが、それとは別に この税金が必ず課される訳で、ゴルフ場利用 1日に対する最高税額は 1,200円、標準税額が 800円で、通常、高齢者を除く 成人がゴルフをすると 600円 から 1,200円の利用税が ゴルフ場の等級に従って徴収される。個々のゴルフ場の利用税額は最高額の範囲内で それぞれの地方自治体が独自に決めることが出来、その税収の 7割はゴルフ場のある市町村に交付されている。

いずれにせよ、ゴルフ場利用税はゴルフ料金の低下にも拘らず一定額で科されるから、その料金に占める税の割合は極めて高くなっているのが現状だ。昼食と税金コミで 4000円 - 5000円といった低料金のゴルフ場でも 600円は徴収される。仮に、5000円の料金のケースで その内訳を見ると(消費税 5% で)以下のようになる。

 ・ ゴルフ場利用税 600円
 ・ 昼食 1000円(内消費税 48円)
 ・ プレー・フィー 3400円(内消費税 162円)

このケースの税金総額は 810円で、率にして 810/4190 = 19.33% である。仮に、このゴルフ場が 人が入らないからといって、4000円に料金を下げたとしても、通常、ゴルフ場利用税 600円は変わらないから 税金の割合は 762/3338 = 23.53% にもなる計算だ。さらに、各種割引や無償で提供しているサービス、手数料などを差し引くと 実際に ゴルフ場の懐に入る収入は さらに減額されることも珍しくない。

ところで、1989年に消費税が導入された時に廃止された娯楽施設利用税だが、ゴルフだけは その時に 担税力があるからという理由で ゴルフ場利用税という名前に変えて残されてしまったという経緯がある。しかし、ゴルフ人口減少、料金低下、そして、会員権の収入や名義書き換え料収入が激減したゴルフ場にとっては 1989年当時とは比べ物にならない厳しい経営環境になっている。また、昨今、日本のアマチュア・ゴルファーの平均年収は 700万円程度で、1000万円以上の年収のゴルファーは全体の13%程度だというデータもある。加えて、社用で ゴルフをする人が激減したという状況もあり、ゴルフ場側にも ゴルファー側にも 担税力があるという状況ではない。

2011年公布、施行されたスポーツ基本法によって、スポーツを通じて豊かで健康的な生活を営むことが国民の権利であり、スポーツ振興を図ることは国・地方自治体・スポーツ団体の義務であると定められたことも勘案すると 引き続き ゴルフ場利用税を残す という決定は絶対に受け入れ難いもののはずだ。

自民党への政権交代が行われた時に、地方自治体の財政に配慮した形で ゴルフ場利用税廃止の要望は聞き入れられなかった訳だが、却下ではなく、小委員会の継続審議となっているそうだから、日本でのオリンピック開催が決定し、消費税の 8% への切り上げが決まった今、ゴルフ場利用税の撤廃を再度、強く要望すべきであろう。

このままでは 国を挙げてのゴルフ・バッシングと思えるような状況であり、ゴルフが オリンピック競技でもあることを考えると、そうした国で オリンピックを開催する資格が果たしてあるのだろうかという疑問さえ湧いてくる状態だ。そもそも、地方自治体の財源に占める ゴルフ場からの税収の割合が高い ということ自体 常識的には理解し難い事実である。ゴルフが かつて人気だった テニスやスキーのような状況になったら ゴルフ場利用税の税収に依存している市町村は どうするつもりなのだろうか。

しかし、今のまま何も変わらなければ、これからは益々人口減少、若者のゴルフ離れという現象が加速するだろうから、むしろ そうした状況になるのは自然の成り行きである。ゴルフ人口はオリンピックの年まででも(そして、その後はさらに)かなりの勢いで減少し兼ねない。そして、そうなれば、もの凄い数のゴルフ場が消えていく可能性もある。

所得における官民格差の是正ということが叫ばれ久しいが、一向に変わる気配がないの何故だろう。特に、地方自治体職員の平均給与、退職金、年金などが民間企業従業者の約 1.5倍というような状況は極めて由々しき問題である。見方によっては、こうした厚遇を維持するために かなりの数のゴルフ場が封鎖に追い込まれ、そこで働く者は職を失い兼ねないのだから、その犠牲になる人は堪ったものではない。公務員にも優秀な人材は必要だから 中には 高給取りの有能な公務員が居ても良いと思うが、基本的には、仕事の中身に応じて 民間並みの給与、退職金、年金が支払われるべきであることは言うまでもない。それをせずに、財源確保の話ばかりをする地方自治体の言い分は ダブル、トリプルで受け入れ難いものであるはずだ。

ゴルフが 地方財政の一端を担わされるのは全くの筋違いであるし、ましてや役人天国を維持するための犠牲になってはならないはずだ。出来るだけ多くのゴルフ場の命を守る。ゴルファーは 今こそ 声を大にして ゴルフ場利用税の撤廃を 叫ぼうではないか。


 

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