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手首(リスト)のコック・アンコック

Introduction
良いショットを打つために必要な条件に (1) 球をクラブヘッドの芯で捉えること (2) クラブヘッドを効率良く 加速して 必要なヘッドスピードを得ること (3) 望ましい方向性を確保することがある。その全てにおいて 重要なのが 腕の振り方と手首 (リスト) のコック・アンコックと言うテーマだが 実は 非常に 分かり難いものである。ここでは そんな手首のコック・アンコックに 旋回(プロネート・スーピネート)、cupped / bowed リストなどの概念を交え 正しい腕と手首の動かし方 そして クラブのリリースの仕方について解説する。

腕と手首の動きは 複雑

金槌で釘を打つ

右は コック・アンコックの概念を説明するために作成したもので まず初めに見て欲しいのが このイラストである。コック・アンコックは このように ハンマーで 釘を打つ時の 手と手首の動きの動作になぞられる。つまり、ハンマーを振り上げる時に 手首は コックし、釘を叩く直前に アンコックするという説明だ。両手の掌を合わせ 所謂 合掌をし その指先が上下に動くように 手首を曲げる動きである。

手首の動き
しかし、ゴルフで 腕とクラブは ハンマーで 釘を打つ時の様に 完全に 縦に 上下に 振られるのではなく 斜めに 上下に振られるので 手首は 前述の動きより 遥かに 複雑な動きをすることになる。その複雑さを説明するために作成したのが 右の写真である。合掌をし その指先が上下に動くように 手首を曲げる動きは A) であるが B) や C) のような 手首の動きも関与するのが普通である。ただし、正確に言えば C) の掌を反す動きは 手首の動きと言うより 前腕を回す動きと言うべきものであろう。いずれにしても、このように 腕と手首の動きは A) ハンマーで 釘を打つ時のモーション、B) 人の顔を 平手打ちにする時のモーション、C) ドアのノブを 回す時のモーション の三通りの動きの組み合わせで コック・アンコックは A) の動きだと言えないこともないが A) B) C) の動きの組合せと考えることで その理解を深めることが出来る。一方、コック・アンコックが B) のモーションだと思っている人も居るだろうが それは 間違いである。B) の動きは 案外 必要性の低いもので ヒッティング ゾーンで B) の大きな動きを入ようとすれば ミスヒットの可能性が 極めて 高くなるだろう。

因みに、C) の動きは プロネート・スーピネート (サピネート) と呼ばれる動きで、かつて、ベン・ホーガンが それを 右図のように説明したことによって ゴルフのレッスンで 良く使われるようになった 一種の ゴルフ用語である。腕と手首の動かし方を説明するのに使った用語 (動詞) だが その名詞形のプロネーション・スーピネーションと言う言葉が使われることもある。好ましい腕と手首の動かし方を学ぶ上で 大切な概念だ。

ヒットダウンのメカニズム

ご存知のように、ボールを クリーンに ヒットするためには クラブヘッドを ダウンブローの軌道で ヒット ダウンする必要があるが そのアクションは 腕を ヒッティング ゾーンで 上下に振らなくとも リストを適切なタイミングで アンコックすれば 効率良く行なえるのである。ボールを ヒットする直前の最適な 所謂 レートヒットと言われる タイミングで アンコックがなされれば クラブヘッドは ボールに対して 上から下に 打ち込むように動くから 腕と手は 横に振っても ボールを クリーンに ヒット ダウンすることは 容易に行えるのである。上級者があまり ダフったり トップしたりしないのは このアンコックのモーションが 適切に 行われているからだとも言える。

ヒットダウン
左腕が イラストの青線の位置まで降りてきた時に まだ アンコックされていなければ クラブのシャフトは 赤線のような 状態になり 所謂 ヒッティング ゾーンで レート ヒットが出来るスイングになる。その場合は 左腕が ヒッティング ゾーンを横に動く間に クラブヘッドは H1 の高さを落ちる訳だ。逆に その時点で アンコックが終わってしまっていれば クラブのシャフトは オレンジの線のような 状態になっているから クラブヘッドが落ちることの出来る高低差は H2 しかない。これでは 手を下に もしくは 利き腕側の肩を下に 動かさなければ ヒット ダウンは 出来ない。しかし、A) と C) のアンコックのモーションを 好ましいタイミングで 入れれば 肩を水平に回転させ ヒッティング ゾーンを 手が 真横に動いても クラブヘッドは インサイドアウトに ヒットダウンされることになる。インパクトに合わせて 手を下に落としていくことが ヒット ダウンすることだと考えている人も居るだろうが そうではない。A) B) C) のモーションを 上手く 組合せる形で レート ヒットすることが インサイドアウトに ヒット ダウンするための鍵 なのである。

腕と手首の動きの組合せ

いずれにしても、バック スイングで コック / プロネーション、そして、ダウンスイングで アンコック / スーピネーション と言う動きをする訳だが、それを 前述の A) B) C) の 三種類の動きに分けてみると 必ずしも その動きの組合せ方は 同じではなく、その量や タイミングは 人によって まちまちである。

例えば 右は お手本になる様な スイングの トップの形であるが その腕と手首の形に 注目して欲しい。左肘は 殆んど曲がらずに 左手の甲は ほぼ フラット。そして、左腕と クラブのシャフトが 概ね 一直線になっていて 右肘は 地面を指している。しかし、この形が トップに到達する 前から ほぼ出来上がるように クラブを振る人も居れば トップで 切り返す時に クラブが 八の字を描くように スイングすることで この形を作る人も居る。つまり、それは A) B) C) の動きを 異なる組合せで行った結果であるが、この様な形が作れれば レートヒットが出来る インサイドアウトの ゴルフ スイングが出来る可能性は 極めて 高くなる。

ここで この形が出来上がっていれば、ダウンスイングでは 手首の形を暫く保ったまま アンコックを 直ぐには スタートさせないよう 素直に 腕を下に落とすことで 所謂 タメが作れるのである。左腕をゆっくり振り子のように振って 腰の高さほどまで落とす。その時、右肘が 右脇腹の前に落ちるようにし その辺りから アンコックのモーションをスタートさせる訳だが そこで 左手の甲が 外側に折れる 所謂 Bowed wrist の形になっていれば ヒッティング ゾーンで A) B) C) の動きは バランス良く 組合さって クラブヘッドは 理想的なアタック アングルで 効率良く加速して ボールを ヒットすることになる。腕と 手首を そのように 動かせれば A) B) C) の (タメの) パワーの全てと ボディーターンのパワーを効率良く利用することも出来るので パワフルで 無駄の少ないスイングになる理屈である。トップで 左手の甲が外側に折れるフォームで ボールを打つ選手は それほど沢山いないが 左手の甲が ほぼフラットな形の トップから腕を落とす過程で その甲を 少し外側に折るように 腕を振るテクニックは ツアープロの多くが 取り入れている方法だ。また、最近の トップツアープロには トップで 左手の甲を 早々と 大きく外側に折るフォームの選手も居る。ダスティン・ジョンソン ジョン・ラームのような パワーヒッターがそうである。

いずれにしても、ダウンスイングのスタートは 下半身の動きが リードする形で まずは (1) 右肘が 右横腹の前に落ちるように 腕を下に落とすこと。そこまでは アンコックしないようにすることが ポイントで そこから (2) 腕は 横に振るイメージで そこで アンコック / スーピネーションを行うのだ。つまり、当然のことながら アンコックは ヒッティング ゾーンで行う訳だが その時に 左腕を スーピネートするのが 好ましい ゴルフ スイングの形で それが出来れば 腕は 横に振るイメージでも 理想的な アタック アングルで ヒットダウンできるのだ。

研究課題

さて、ドアノブを回すような腕と手首の動き 即ち プロネーション・スーピネーションについては 一定の理解が出来たことと思うが、ここで もう少し 補足説明をしよう。まず、図のように 左手を使えば 右手も同じように回転する訳で それによって 右腕のエキステンションが促され ボールをより確り捕まえることが出来るなどの効果もあって その分 パワーを生むことになる。つまり、力強いボールを打つためには 腕と手首を図のように使えば良いというアイデアになる。ただ、この腕と手首の使い方は 引き戸を明けたり 閉めたりする時の腕と手首の使い方に比べると より複雑な動きになるから そのやり方を間違えば ショットの安定性に 大きな影響を及ぼすという考え方もあり ゴルフ スイングは ボディーターンによる回転運動をパワーソースとすべきで 腕や手首の複雑な動きは 極力 使わないようにすることが望ましいという考え方もある。とは言え、ツアープロのフルスイングのショットを良く観察してみると 多くの場合 ベン・ホーガンの説明のような 腕と手首の動きを使うスイングを 程度の差こそあれ していることが分かる。つまり、意識的にするかどうか、また、積極的にするかどうかは 別にして、図のような 腕と手首の動きをするのが正しいスイング理論であると言えよう。

一方、アマチュア ゴルファーは トップで 左手首が bowed リストとは 逆の 内側に折れる cupped リストの形になっている人が多いのも事実である。まずは、その点について 自分のスイングを チェックしてみよう。また、平手打ちの要領で ボールを打つ瞬間に合わせて 素早く返そうとする人も居ようが そうした 手首の横の動きは ショットの再現性や正確性という観点から 極めて 問題の多いもので 避けるべき 打ち方である。腕と手首を 平手打ちの要領で 動かして ボールを打とうとすれば インパクト前に 左手首が 内側に折れ兼ねず 前述の ヒット ダウンのメカニズムを阻害し 好ましくない結果になる可能性が高くなるだろう。

コック・アンコック、プロネート・スーピネート また cupped/bowed リストの概念については 概ね ご理解頂けたことと思うが 残念ながら、これらの概念を自分の ゴルフ スイングに どのように取り入れるべきか という疑問に対しては 簡単には 答えを示せない側面がある。実際に ボールを打ってみると、例えば、どのタイミングで どの位 コックを 入れるのが良いのかとか、トップの形、アンコックのタイミングで プロネート・スーピネートと言ったことを意識してスイングすべきだろうかなどと 様々な疑問も生じるであろう。そうした点は スイング全体のバランスとの兼ね合いもあるし 個人差もあるから 個々が 時間をかけて じっくり研究して 答えを見つけ出すべき研究課題である。ここで得た知識を基に 一遍に スイングの大改造をするのは 危険性の高い選択なので その点は 注意をして 色々と試行錯誤をして欲しい。

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