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腕のローテーション|プロのスイングの秘密

Introduction
ベストボールストライカーと言われたベン・ホーガン|Ben Hogan は その著「モダン・ゴルフ」の中で 前腕のローテーション 即ち プロネーション|pronation とスーピネーション|supinateion と言う少し分かり難い概念について言及しているが、どちらも スイング中のフェースローテーションに直結する動きのことで スイングの効率と安定性を向上させるためには その理解を深めることが 不可欠である。ここでは そんな腕のローテーションについて考察し 併せて その実践法についても解説する。

モダン・ゴルフの解説

モダン・ゴルフでは この概念を 右図を使って解説しているが このように ドアノブを回すように 手と腕を ダウン (フォワード) スイングの時に動かすのが 好ましいスイングをする上での鍵だと説明している。そのためには バックスイング時に 右利きの場合 左手の甲が上を向くように腕を回転させ(その動きがプロネーション)その後 腕をダウンスイングで 右図のように動かして インパクトでは 左手の甲が少々外側に折れるような形でターゲットを指すようにし さらに そこから フィニッシュにかけて その甲が下を向くように旋回させる(その動きがスーピネーション)ことで クラブヘッドを効率良く走らせることが出来ると説明している。しかし、そのやり方は ツアープロの間でも かなりの差があるものだ。この動きを自分のスイングの中に どのように取り入れるべきかについては 様々な考え方があるが、それによって 腕の振り方、リスト (手首) のコックとクラブのリリースのメカニズム 加えて スイングのタメのメカニズムは 大きく影響される。

望ましい トップの形の作り方

フェース面の向き
上のイラストは プロネーションとスーピネーションという腕の 所謂 旋回の概念を説明する目的の観点からは それなりに役立つものだが 腕の旋回をどのタイミングで どう行えば良いのかを理解させるには 不十分なばかりか 誤解を招き兼ねない面もある。まず第一に ゴルフの場合 スーピネーションの正反対の動きがプロネーションとなるべきではないのに そうした理解をし兼ねないことである。好ましいプロネーションとは バックスイングで フェースが不必要にオープンにならないように左腕を旋回させること(見方を変えれば、抑えること)だと考えるべきだろうが、モダン・ゴルフの図を参考に バックスイングの腕のプロネーションを考えると クラブを引いたら 直ぐに フェースをオープンにする様な左腕の引き方と上げ方をし兼ねない。しかし、バックスイングで クラブヘッドは ヒップハイの段階でフェースがオープンになって空の方を指すのではなく、右上のイラストのように 少しシャットに 下を向く方が無駄が少なく 好ましいのだ。実際に 最近のツアープロのほとんどは このようにフェースをシャットにしてクラブを振り上げている。

スイング・プレーンと腕の動きの関係
最初に紹介したモダン・ゴルフのイラストは ある意味 フォワードスイングの腕の旋回を説明したものだから バックスイングでのプロネーションとフォワードスイングでのスーピネーションを説明するとなれば 右の様になるべきだと言えるだろう。つまり、プロネーションは バックスイングの後半に (必要であれば 小さめに) また スーピネーションは インパクト前のフォワードスイングの段階からフォロースルーにかけて行うものだと理解すべきだろう。クラブフェースは スイングを通じて スクウェア - オープン - スクウェア - クローズド となるのが普通だが、安定性を確保するには そのオープンの程度を小さくした方が有利だ。ベン・ホーガンの説明のように トップで右手のパームが上を向くとクラブフェースの開きは 比較的 大きなものになり それでは 無駄の多いスイングになってしまう。むしろ、バックスイング時のプロネーションは 0 に近くし クラブフェースを出来る限り スクウェアにキープして スイングした方が合理的である。つまり、トップで 右手は パームアップの形になるべきだが それが自分の方を向くのではなく 右手の甲が少し見えるようにした方が良いと言うことだ。そうすることで クラブフェースは スイングを通じて スクウェア - オープン - スクウェアの度合いが小さくなり、ダウンスイングの早い段階から 左手の甲がボールの方を向くようなスイングになる。左手の甲とフェース面は 原則 同じ方を指す訳だから フェースをインパクトゾーン直前に 一気に スクウェアに戻すような動きは 不要になる訳だ。そうなれば フェースをほぼスクウェアにキープして スイング出来るから 掌を返す動きは 小さくなり 左手がクラブヘッドをリードし易い形でクラブを振れ パワーソースとして必要な アンコックとフェースターンの動作をインパクトゾーンに入ってから行うことが出来るので 無理なくタメが作れる理屈だ。アンコックとフェースターンを切り離して行うことは 難しいから。

以上のように、トップでフェースが不必要にオープンになるようなパームアップは 避けるべきで 右手のパームは 右肘を右脇腹前に落としてから右腕を伸ばして 右手でグリップを押し出しながらシンプルにクラブを振れば良いような トップの形が作れるようにすべきである。そのために 左手のリストは トップでフラット もしくは 少し外側に折れるくらいの状態になるのが好ましいが それが難しいのであれば 内側に折れる度合いを最小限にするように工夫して欲しい。そう考えると すでに述べたように プロネーションは スーピネーションの反対の動きと捉えるのではなく 上手くスーピネーションするための準備動作だと考えた方が良いのである。左手のリストは セットアップで 若干 内側に折れるのが普通だが、a) ハンドダウンに また ハンドレートに 構えれば その度合いは 大きくなるし、逆に、b) ハンドアップ かつ ハンドファーストに 構えれば そのリストは フラットになるはずだ。どのように バックスイングを始動させたら良いのか分からない人は クラブを引く時に その a) から b) 的な動きを組み入れることを試して欲しい。好ましい腕のプロネーションを習得するために役立つだろうし、ヒップハイでのフェース面の向きの課題も解消するだろう。そのヒップハイの形が上手く作れれば 後は 前述の好ましいパームアップの形を念頭に バックスイングを完了させれば 腕の旋回は 意識しなくとも 自然と好ましいプロネーション 即ち スーピネーションの準備動作は 完了するだろう。

プロネーションのイメージこのように 腕とクラブのシャフト 及び フェース面をスイングを通じて 望ましい状態にキープするために 腕をどのように振れば良いのかと言うことに対する理解を深めることが 極めて重要な訳だが トップのポジションで 左腕とシャフトの傾き 及び フェース面 (左手の甲と同方向を指す) が スクウェアでなければ ダウンスイングで それをスクウェアな状態に戻してあげる必要が生じるが その程度が大きければ 腕の動きは 勿論のこと 体の動きも 非効率で 不安定なものにならざるを得ない。つまり、まずは バックスイングからトップにかけて そうした観点から その腕の振り方 (腕の引き上げ方とプロネーション) がどうあるべきかを考えて欲しい。同時に、その時のリストの動き (内外の屈折) についても 工夫をし どのように腕全体を動かすのが良いのかを十分に研究する必要があろう。

シャフトの軸を回すイメージ

ネジを回すイメージ
理に適ったトップの形が出来れば 後は 前述の様に 右肘を右脇腹前に落としてから 右腕を伸ばして 右手でグリップを押し出しながら フェースを少しだけオープンな状態から スクウェア そして クローズドにする要領で ダウンスイングをすれば良い訳だが、その時に 役立つイメージの作り方について 少し補足しておこう。ダウンスイングで シャフトは 鞭のように「たわむ」が 同時に「捻じれ」もする。前述のスーピネーションは その捻じれに 多大な影響を与えるものだが クラブを振る時の そんなシャフトの挙動に目を向けて 腕の振り方を工夫してみるのも一案である。つまり、ボールを確り捕まえるために どの様に シャフトの「たわみ」と「捻じれ」をコントロールすれば良いのかをイメージしながら 自分のスイングを研究するのだ。スーピネーションについては 左手で スクリュードライバーを持ち それで ネジを反時計回りに 軽く回す動作をイメージして欲しい。そんな感じで シャフトを 上下左右に振るイメージだけでなく、シャフトをネジに見立て それをスクリュードライバーで回転させるイメージでボールを確り捕まえるイメージに重ねるのである。ダウンスイングで 大きくフェース面をターンさせるようなイメージではなく インパクトゾーンで 少しネジを回して ボールをフェース面に乗せてあげるイメージである。左腕の肘は 曲げたくない訳だから このイメージがピッタリくる可能性は 高いと思う。プロネーションとスーピネーション それに リストの屈折、さらには、そのコックとアンコックという観点から腕の動きについて考えたことのなかった人は その動きを改善することによって スイングの感覚とメカニズムが大きく変わる可能性があるが、ネジとスクリュードライバーのイメージも利用して 色々なスイングのパターンを試行錯誤的に試して 研究して欲しい。

タメが作れるスイングメカニズム

いずれにしても、以上のようなアイデアを導入し 自分のスイングの改善を試みるをことで 体、腕、クラブの位置関係、さらには 肩の回転、腕とクラブを振る感覚に大きな違いが出ることに気付くだろう。腕のローテーションという概念に 違和感を持ち 自分には 不向きな概念だと感じる人も居るだろうが、この研究をすることで 上手くできなかったスイングのタメも出来るようになって スイングの大幅な改善に繋げることが出来る人も居るだろう。

スーピネション望ましい トップの形が出来たら そこから ダウンスイングでは 右図 (b) の腕が右脚の太もも前に落ちてくるまで トップの位置で作った腕とシャフトの位置関係(角度)を維持する感覚で ヒップと肩を回転させて クラブを落とし そこから (c) に向けて シャフトの軸を少し回すイメージで スーピネートしながら アンコックをして クラブをリリースさせるスイングが出きれば 必然的に スイングには タメが生じるはずだ。ただし、スーピネーションも アンコックも それを無理やり意図的に行っても 上手く行くものではなく ある意味 位置のエネルギーを利用する感覚で 自然に行えるようにすべきものである。クラブのリリースにタメが生じれば (b) の段階で ほぼ地面に対して シャフトが平行な状態から クラブは インパクトの直前にリリースされる訳だから 手は 右から左に水平に動いても クラブ ヘッドは 適度なダウンブローでボールを捕らえることが出来るようになり、特に、アイアンショットでは ボールをよりソリッドに打つことが出来るようになるだろう。この (b) の形と そこからシャフトの軸をコントロールしながらボールを捕まえる感覚が理解できるようになれば しめたものだ。インパクト前後のヘッドスピードは 無理なく 非常に効率よく アップするし、フェースは インパクトでよりスクウェアになるようになるだろう。

力強いゴルフスイングの完成

左腕の動き一方、(c) 以降は 右図のように 左肘が下を向いて 右手がパームダウンするように 腕のスーピネーションの動きを最後まで完結させることになる。腕を以上の説明のように ローテートさせることは 方向性に悪い影響を与えないかと心配する人も居るだろうが 面を大きくターンさせるのではなく 軸を少し回転させて ボールを確り捕まえるというイメージで行えば クラブフェースをインパクト前後の長いゾーンでスクウェアに維持する効果があるもので むしろ 積極的に取り入れることによって(腕をアップライトに振れる効果も手伝って)方向性が 逆に 良くなる可能性の高いものである。従って、その点については 恐れずに 試して見るべきだろう。ただ、練習の初期段階では 腕の振り幅を小さめにして クラブの引き方と 腕のローテーション、コックの入れ方、また、肩の回転と腕の動きとのバランス、そして、(b) の形の作り方、さらには (c) (d) (e) の左肘の返し方、左腕のたたみ方などについて 色々試してみて欲しい。

腕の回し方によって クラブヘッドが 効率良く走るのは それが正しい肩の回転を促す効果もあるからだとも考えられるが トップでの腕の形とコックの状態を ダウンスイングでは (b) の状態まで あまり変えることなく 維持するようにして腕を落とせるようにし そこから 遠心力の力を利用して スーピネションとアンコックをするようにスイングすれば 腕を大きく振り上げずに 腰の高さくらいで 抑えるイメージでも ヘッドスピードは 驚くほど上がるはずだ。意識的には 腕の力でボールを飛ばすというものから この腕の動きと体の回転とをシンクロナイズさせることで ボールを飛ばすというものに変えて欲しい。プロネーションとコック、スーピネーションとアンコックをセットで上手く行えるよう 体の回転と腕の振りを バランスさせることで 自然とタメが生じ より安定していて しかも 力強い プロゴルファーのスイングのよなフォームが完成するはずだ。最後になったが、他にも ベン・ホーガンの「モダン・ゴルフ」には 大変参考になる概念が数多く説明されているので 読んだことのない人は 一度 チェックして下さい。 » 詳細

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