ウェッジショット|基本と応用

Introduction

一般男性の場合は 概ね 100ヤード、女性の場合は 60~70ヤード以内のショットは ウェッジでの 所謂 コントロールドショットになるが、そんなショットの精度を上げることで ラウンド中のバーディーチャンスや ミス ショット後のパーセーブの確率は 飛躍的に向上する。しかし、フルスイングで ピッタリの距離以外は クラブを軽く振って 距離を適度に コントロールする必要があり そのコントロールが思うように出来ない。そんな問題を抱えている人は 少なくないだろう。そこで ここでは そうしたショットの精度を上げるという視点から ビギナーだけでなく 上級者の人にも参考になる様々なテクニックを紹介する。

スイングの振り幅

当然のことだが、クラブを軽く振って 距離を適度にコントロールするには スイングの振り幅を小さくして ヘッドスピードを落とす必要がある。ここで ツアープロのコントロールドショットの動画を見てみよう。

これは ローリー・マキロイのスイングだが フルスイングで 腕が時計の針で言えば 11 ~ 12時のポジションまで上がるのに対して このスイングでは それが 10 時くらいの大きさにまで 抑えられている。アマチュア ゴルファーの場合は このようなショットで 肩の回転を小さく抑える人が多いが マキロイは 腕の振り幅は 小さいが 肩を 90° 近くまで回転させている。従って、トップで 手は 胸の横に来るのではなく 胸の前に来るような形になっている。このように 肩を大きく回転させれば ダウンスイングで 腕の通り道が確保されるし 腕力をあまり使う必要がなくなるから 必然的に スイングの安定性は 増す。ツアープロのコントロールドショットは このように肩が良く回転するのが特徴で その点がアマチュアとの違いだと言える。実は アマチュア ゴルファーの多くは このようにスイングを変えるだけで ショットの安定性と精度を大幅に改善できる可能性がある。

インパクト ゾーン

インパクトゾーン
ウェッジのコントロールドショットは フルショットを小さくしたショットと考えることも出来るし、チップショットを大きくしたものと考えることも出来る。しかし、どちらにしても スイングの振り幅が違うだけで スイングの本質は 同じで 如何に クラブフェースが スクウェアになる インパクト ゾーンを長く作れるかがポイントである。インパクト ゾーンとは ボールを挟んで ボールをクリーンにヒットできる その両側に イメージされる仮想の直線に近い円軌道のことで、それが長ければ 長いほど ショットの精度は 高くなる。クラブヘッドが 膝から膝までを動く 概ね クウォータースイングのすべてが インパクト ゾーンになるイメージで クラブを振ることで 長いインパクト ゾーンのスイングが出来る。そして、そのインパクト ゾーンでは 体を回転させながら 腕を引いて旋回させ フェース面を正しく旋回させることが絶対条件になる。つまり、フェース面が 膝から膝の高さで この円軌道に対して スクウェアになるように旋回し 加えて シャロ―なダウンブロー軌道で動くような 前腕の動かし方とコックの使い方をマスターすることが 好ましいスイングを身に付ける上で 最も重要なことであるが、その時に 体をどれだけ回転させれば良いのかということに対する理解を深めることが大切だ。アマチュア ゴルファーは 肩の回転が小さくなる傾向があると言ったが その点を含め ウェッジのコントロールドショットを以上の視点から学べば 全てのショットに於いて その安定性と正確性が 格段に改善されるだろう。

水の入ったバケツを振る
そんなウェッジのコントロールドショットでは ボールをスタンスの中央に置くのが基本だが 低い弾道のボールにしたければ その位置は 若干 右寄りにすれば良いだろう。そして、水の入ったバケツを両手で持ち 肩をゆっくり動かし 同時に 腕を少し振ることで バケツを振り動かすことをイメージしてみよう。そのバケツの水がこぼれないように それを飛球線の延長から大きく離れない方向に つまり あまりインサイドに引かないように バケツを体の前に置いて 左右に 体全体を使って 動かすイメージで クラブが振れれば 好ましい前腕の動かし方とコックの使い方 そして フェース面の正しい旋回ということが 上手く出来る感触がつかめる可能性は 高くなるなるだろう。水の入ったバケツを その水がこぼれないように振る時に コックはしないかも知れないが、強いて コックをするとすれば どんな コックをすれば良いのか。水がこぼれ難いコックの仕方をイメージして欲しい。それで、水をこぼさずに バケツを振れる 最大の腕の振り幅が 前述のクウォータースイングと言うことだ。

ウェッジのコントロールドショットも チップショットやピッチショットと 同様に 抑えるべき急所は (1) ボールをクリーンに芯で捕らえて打つこと (2) 距離感を養うこと (3) 方向性を良くすること の三点で (1) (2) (3) の順に ある意味 重要度が落ちるが、それを念頭に 肩の回転と腕の振り方などについての理解を深め どのようにボールを打てば良いのかを学ぶことが上達のためのポイントで その時に キーになるのが 前述のインパクト ゾーンの考え方である

距離のコントロール

ここで、考えて欲しいのがストロークの大きさと飛距離の関係の概念である。つまり、ハーフスイングは クウォータースイングの倍飛ぶ的な関係であるが、飛距離は 体の回転、腕の振り幅、コックの使い方などによって決まる訳で 腕の振り幅は 飛距離に影響を及ぼす要素の一つに過ぎないと言うことである。とは言え、飛距離のコントロールは 体の回転と腕の振り方によって決まるクラブの振り幅をコントロールする意識の下に行う方法が最も分かり易く、管理もし易い。従って、クラブの振り幅を時計の針に例えて 8 時のスイングで 40 ヤード、9 時で 60 ヤード、10 時なら 70 ヤードのように 時計の針のイメージを使った 以下に紹介する方法がある。ただし、その時に忘れてはならない幾つかのポイント(後述)があることを覚えておいて欲しい。

時計の針のイメージを使った距離のコントロールは バックスイングのクラブの振り幅を時計の針のイメージを使って調整し、8 時のショットとか 9 時のショットなどとし、サンドウェッジで 8時のショットをすれば キャリーで 40 ヤード、9 時であれば 60 ヤード、10 時であれば 70 ヤードなどと管理する方法である。例えば、サンドウェッジ、ギャップウェッジ、ピッチングウェッジの 3 本のウェッジでプレーをする場合、8 時、9 時、10 時、フルスイング という 4 通りのスイングの大きさをレパートリーに持っていれば どんな距離が残っても 10 ヤード単位での距離のコントロールが出来るという考え方である。具体的には 以下のマトリックスのように 飛距離をコントロールするのだが、これによって ただ勘に頼るやり方に比べ 明らかに精度の高い距離のコントロールが出来るようになる。それぞれ個人の飛距離は 当然 皆異なるので 自分独自のマトリックスを作る必要があるし 普段から そのマトリックスを念頭に 飛距離の精度に配慮した練習をするのが前提である。

時計の針による管理のマトリックス
バック
スイング
サンド
(SW)
ギャップ
(GW)
ピッチング
(PW)
8時 40 Y 50 Y 60 Y
9時 60 Y 75 Y 90 Y
10時 70 Y 90 Y 110 Y
フル 80 Y 100 Y 120 Y
時計の針のイメージで

ただし、ショットの飛距離は 前述もしたように 体の回転、腕の振り幅、コックの使い方などに左右される訳だから クラブの振り幅に合わせた 体の回転、腕の振り方、コックの使い方をセットで管理する必要がある。短い距離のショットは 腕を振るだけでも簡単にボールを必要な距離 飛ばすことも出来るから 腕の振り方を中心に調整することで対応しがちだが そうすると 体の動きがルーズになり 不必要な小手先の動きも入りやすくなってミスを犯し易くなる。なるべく、体の回転を中心に クラブの振り幅を管理することを忘れないで欲しい。意図したクラブの振り幅に対して 最初に体の回転のイメージを作り 次に腕の振り方をマッチさせる形で 確り 緩まずに体を回転させてボールが打てる。常に心がけるべきポイントである。

上の表を良く見ると 例えば 60 ヤードは どうするのか、中間の距離は どうするのか、また、80 ヤードをピッチングウェッジで打つのか といった疑問を持つ人も居るだろう。そこで考えて欲しいのが 自分に合った微調整法の導入とトータル管理システムの構築だが、それを行う前に 知って欲しいのが 以下の事実である。即ち、ゆっくり 大きめに それとも 小さく 速めに ... クラブは どう振るのが良いのか?当然 適度な大きさとテンポがあるのだが フルスイングのイメージで ハーフスイングや クウォータースイングでも クラブヘッドを加速させるようにしてボールを打とうと考えれば スイングは 小さく 速いものになる。実は 加速も 減速もしない 一定のスピードで 但し 確りクラブを振るスイングを心掛けた方が微妙な距離のコントロールは し易くなる。ボールを加速モードで打つつもりでクラブを振って アプローチの微妙な距離のコントロールをするのは 思いのほか 難しい。その事実を覚えておいて欲しい。

低弾道・高スピンのショット

50ヤード前後の短い距離のショットの精度を上げるには 実は 低弾道で バックスピン量の大きなショットが 距離の精度と言う意味で また ミスし難い打ち方という意味でも 有利で そうしたボールを打つための理屈とテクニックを学ぶことが重要である。以下の動画は 英語ではあるが それを教えているもので 大変参考になるので これを見ながら 以下の解説を読んで欲しい。

データ
ただ単に バックスイングの腕の振り幅をコントロールして ウェッジでダウンブローのショットをした場合は かなりボールが高く上がり スピン量のあまり大きくないショットになるが それでは精度を出すのは 実は難しいのである。ツアープロは より低弾道のボールにすることで 精度を上げているが ダウンスイングを ドローを打つイメージで クラブをよりシャロ―に インサイドアから ハンドファーストに落とし インパクト後に クラブを低くインサイドに引くようなショットをすることで 打ち出し角を低くすることが出来る。それによって バックスピン量も増え 意図した 低弾道・高バックスピンのボールが打てるという理屈を説明しているのが上の動画である。動画の生徒が 教えられたことをしようと努力した結果 それを 100% 上手く出来た訳ではないが Before / After で改善が見られている。具体的には 打ち出し角が 5° ~ 10° 低くなり スピン量が 2,000 回転程度 増えている。理想的には スピン軸 (SPIN AXIS) を より 0 に近くし よりインサイド・インに シャロ―にクラブを振って ハンドファーストに打つことで ダイナミックロフトをもう少し小さくすれば 打ち出し角は さらに 小さくなり バックスピン量も増えて より精度を出し易いショットになるはずだ。» 動画記事のレッスンも参考に



マトリックスシステムの完成

低弾道・高バックスピンのショットの打ち方をマスターしたら 最後に考えて欲しいのは 前述の自分なりのマトリックス システムの完成である。以下のような微調整のテクニックも含め 自分に最適なマトリックスが どうあるべきかを研究して欲しい。

(1)
クラブを短く持つ
(2)
フェースを少し開く
(3)
8 時半、9 時半のスイングなど

例えば 8 時のコントロールドショットが難しいと感じるのであれば、そうしなければ打てない場合のみに そうしたショットは使うべきショットで 上の例で言えば 70 ヤードは ピッチングウェッジの 8 時のショットではなく、ギャップウェッジの 9 時のショットか、サンドウェッジの 10 時の ショットにすべき という考え方になるだろう。9 時のショットが自分は得意という人であれば ピッチングウェッジを短く持ったり、少しフェースを開いたりする方法(どちらも 少し距離が短くなる微調整法)で対応した方が精度が高くなる可能性もあるから 一通り このシステムの基本を習得したら そうしたショットの打ち方の応用研究もして欲しいと言うことだ。

つまり、70 ヤードをギャップウェッジの 9 時のスイングで打つには どうしたら良いか のような ある意味 マトリックスの発想とは 異なる方法を導入して距離をコントロールする方法も研究をしてみる。システムをあまり複雑にすることは オススメできないが 自分にとって最も自然に 楽にコントロールできるシステムが何かを考えてみるべきである。

いずれにしても、時計の針のようなアイデアで距離の管理をしようとすると 腕の振りばかりに気を取られて 手打ちになってしまう傾向が強くなるという問題もある。小手先でなく、体の回転を使ってクラブを確り振ることが重要だが、その点を意識しないと(最初は 特に)そうは行かなくなる。安定した回転運動で 回転軸がブレないように 確りクラブを振ることが ショットの安定性と精度の要であることは フルショットもコントロールドショットも同じだ。

また、多くの人は 腕の振りを小さくすると コックも小さくなる傾向がある。フルスイングの場合 通常は 7 時か 8 時くらいから コックが入り始めるのがものだが、そのタイミングで 短い距離のコントロールド ショットのバックスイングをすれば コックが十分に入らないトップになる可能性が高い。まずは その点に注目して 腕の振り幅の小さいショットでは (a) コックを最小限に抑える方法 (b) 少し早目にコックを入れる方法 などを試して欲しい。そして、自分に最も合った方法で 何時も同じ打ち方が出来るような工夫をする必要があるだろう。

もう一つ フルスイングと異なる点が 体(肩)の回転である。つまり、打ちたい距離に応じて 肩の回転を抑える必要がある訳だが その回転量を抑え過ぎないようにすることを忘れないで欲しい。その上で 肩の回転と腕の振りのバランスを取るという発想で 新しい打ち方を研究して欲しい。例えば 腕を 8 時 まで上げるスイングで 肩が 30° 回転するようなスイングをしている人は 45° くらいまで回転させてみる。もちろん、肩の回転と腕の振りの組合せが 30°/ 8 時 vs 45°/ 8 時では 飛距離も変わるだろうが スイング軌道とインパクトゾーンが違ったものになるのがポイントだ。

バックスイングの腕の振りのイメージを時計の針に置き換えることで 肩が回らずに 腕だけの動きに注意が行き、所謂、手打ちになって 安定性を欠くという問題は 以上で ほぼ解決できるはずだが、バックスイングの大きさの管理に加えて、ダウンスイングも腕の振りではなく、体の回転で距離を出すイメージを持つこと、そして、低弾道・高スピンのショットの打ち方を どのように導入するかなど 様々な工夫をすることで さらに安定性と正確性をアップできる可能性は 高くなるだろう。

なお、より正確な距離のコントロールをするためには グリーンにボールが落ちてからの転がり方についても 十分な 知識を身につけておくことが 必要だ。通常、ボールの転がりは ボールの高さ、バックスピン量、グリーンの硬さ、傾斜、速さなどによって決まってくるが、当然、サンドウェッジで 60ヤードのショットをした方が ギャップウェッジで 60ヤードのショットをするより バックスピン量も多くなる。また、低弾道・高バックスピンのショットは グリーンにボールが落ちてからの転がりが 他の打ち方とは 異なってくる。平均的な 硬さと速さのグリーンでは それぞれのウェッジのコントロールドショットの転がり方がどのようになるかという(大雑把な アイデアでも良いから)理解を持っておくことが望ましい。

グリーンにボールが落ちて すぐに止まるような バックスピンのかかったボールが打てれば キャリーでピンまでのショットを打てば良い訳だから 最も単純なショットになるが、多くの場合は そうは行かない色々な事情があるから ピンから 5 ヤードとか 10 ヤード手前にボールを落として ピン傍にボールを止める ボールコントロールの知識やテクニックも必要になる。例えば、ロフトのあるクラブを使って 比較的早いヘッドスピードで ダイナミックロフトを小さくするような ボールを打ち方が出来れば グリーンに落ちて すぐに止まる バックスピンの良くかかった ボールが打てるが そうしたショットは グリーンのコンディションや ボールの性能によって 結果が大きく異なるから よりハイレベルなプレーをしたければ それなりの知識と工夫が必要になるだろう。多くの上級者は バックスピンでボールを止め易い ウレタンカバー マルチレイヤー(多層構造)のボールを使い その性能を上手く使ったショットの打ち方を身に付けているものだが バックスピン量を 逆に 少し抑えて寄せるための知識やテクニックについても 併せて 研究してみると面白いだろう。

ケースバイケース、特に、グリーンの硬さ、風の影響、打ち上げ・打ち下ろしなどの状況を考慮して、どんなショットを選択すべきかの判断は 各プレーヤーが経験に基づいて ある程度 直感的に行わざるを得ないものであるが、実際のラウンドでの練習で 様々なショットを応用して(例えば、サンドウェッジで打てる距離をギャップウェッジやピッチングウェッジで打ってみる工夫など)レパートリーを積極的に広げる努力をすることも ワンランク上のゴルフを目指す人にとっては 必要なプロセスと言えるだろう。

時計の針のイメージでマトリックスの考え方で ウェッジショットの飛距離をコントロールしていない人は まず 自分のマトリックスを練習場でチェックして作成して欲しい。肩の回転 / 腕の振りが 45°/8 時、75°/9 時、90°/10 時という管理が難しければ それぞれを A、B、C の三通りの打ち方として 管理するような方法でも良いが システマチックでリピータブルな飛距離のコントロール法を身に付けることが大切だ。どんなレベルで管理するかは その人の目指すゴルフのレベル次第だが ゴルフ上達の観点から ウェッジショットの精度をアップするということは 欠かせないものだから 十分な時間を割いて研究して欲しいテーマである。

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