ウィスリング・ストレイツ|全米プロ開催コース
2015年の全米プロゴルフ選手権 (PGA Championship) が行われる ウィスリング・ストレイツ (Whistling Straits) は アメリカ中西部、ウィスコンシン州の中核都市、ミルウォーキー (Milwaukee) から 車で 1時間 (90km) ほど北上すると到着する コーラー (Kholer) という町にあるアメリカン・クラブ (The American Club) が 所有・運営するリゾート・コースである。とうもろこし畑が多く、フラットな地形が多い中西部のゴルフ場にしては珍しい、海辺にも見える(実際は、巨大なミシガン湖)比較的アップダウンのある場所に、クレーターのような多数のバンカーと フェスキューの茂ったラフを配した リンクス・スタイルのコースだ。
このコースは、コーラーの町から北に少し離れた湖沿いの空地のようなところを大規模に造成して造られたもので、1998年にオープンした 6年後の 2004年には 既に 全米プロゴルフ選手権を ホストし、そして、2010年、2015年にも 同大会を開催することになった。スコットランド、アイルランドのリンクス・スタイルを踏襲し、ピート・ダイ (Pete Dye) がデザインしたコースだが、これがアメリカ中西部にあるとコースだとは信じ難い風貌である。
Hole | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | OUT |
Yards | 408 | 593 | 181 | 493 | 598 | 355 | 221 | 507 | 449 | 3805 |
Par | 4 | 5 | 3 | 4 | 5 | 4 | 3 | 4 | 4 | 36 |
Hole | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | IN |
Yards | 361 | 618 | 143 | 404 | 373 | 518 | 569 | 223 | 500 | 3709 |
Par | 4 | 5 | 3 | 4 | 4 | 4 | 5 | 3 | 4 | 36 |
このコースは フル・バック (Black) ティーからのヤーデージが 7,790-yard もあるので、2015年の全米プロの 7,514-yard という設定も余裕で行える距離がある。コースには 1,000 とも 1,100 とも言われる数のバンカーがあるが、綺麗に均されているものは、その10%程度で、他のバンカーは すべて ウェスト・バンカーのような状態だが、どれも通常のバンカーとしてプレーをしなければならないルールだ。2010年・全米プロの最終日に、ダスティン・ジョンソン (Dustin Johnson) が そのウェスト・バンカーのようなバンカーでソールをしてペナルティーが科され、優勝戦線から脱落した事件を覚えている人も少なくないだろう。その時は、マーティン・カイマー (Martin Kaymer) がプレーオフの末、ババ・ワトソン (Baba Watson) を降して、優勝を果たした。
2015年の第 97回大会は 8/13 - 8/16 の日程で開催されるが、日本からは 松山英樹、小田孔明、岩田寛の 3選手が参戦する。(PGA オフィシャル・サイト)因みに、2014年の大会は ケンタッキー州、ルイヴィル (Louisville) の郊外にある ヴァルハラ・ゴルフクラブ (Valhalla G.C.) で行われ、ローリー・マキロイ (Rory McIloy) が、全英に続き、この全米プロでも優勝し、強さを見せつけた。2015年の全英オープンを怪我で欠場したマキロイだが、全米プロには ディフェンディング・チャンピョン(ワールドランク 1位)として出場する予定だ。
しかし、この大会で注目される選手の筆頭は、マスターズ、全米と優勝し、全英でのプレーオフに 1打差で参加できなかったジョーダン・スピース (Jordan Spieth - ワールドランク 2位)であろう。また、全英の覇者となったザック・ジョンソン (Zack Johnson)、さらに、今年のメージャーで優勝戦線に何度も顔を出し、前述の事件で優勝を逃しているダスティン・ジョンソンや今シーズン好調なジェイソン・デイ (Jayson Day) などにも注目が集まっている。残念ながら、タイガー・ウッズの話題は影を潜めている。いずれにしても、この大会でアメリカ選手が優勝すると、メジャーのアメリカン・スウィープになるが、全てのメジャー大会をアメリカ人が制するのは 1982年(Craig Stadler - Masters, Tom Watson - U.S. Open and British Open, Raymond Floyd - PGA)以来のことになる。
ところで、ウィスリング・ストレイツは、冒頭にも述べたように、コーラーにある高級ゴルフ・リゾートのアメリカン・クラブが所有し、運営するコースだが、ここには 他にも以下の 18ホールのチャンピョンシップ・コースがある。
Blackwolf Run - Meadow Course | 7,210-yard/Par 72 |
Blackwolf Run - River Course | 7,404-yard/Par 72 |
Whistling Straits - Irish Course | 7,201-yard/Par 72 |
Whistling Straits - Straits Course | 7,790-yard/Par 72 |
これらのコースは、すべて、ピート・ダイ (Pete Dye) の設計によるものだが、そのフラッグシップ・コースが、ウィスリング・ストレイツのストレイツ・コースと言うことだ。因みに、グリーン・フィーは 上表の上から順に、$190、$275、$190、$385 で、ストレイツ・コースだけは キャディー ($65 + $40) の使用が義務付けられている。
とは言え、ブラックウルフ・ランの 2 コースも素晴らしいもので、ウィスリング・ストレイツ よりは先に造られ、1988年にオープンしている。そして、そこでは 1998年にメドーとリバー・コースの混合で 全米女子オープンが行われた。覚えている人も少なくないだろうが、韓国のパク・セリ選手がプレーオフの末 優勝した大会で、これが 韓国女子ゴルフ興隆の始まりになった大会だったと言っても過言ではないだろう。