ヤーデージブックのお話
♦ 一般的なヤーデージブック
とは言え、日本では一部の名門ゴルフコースに 前述のようなスプリンクラーヘッドにヤーデージが明記されているコースもあるが、その多くは そうした意味で整備されておらず、距離計がなければ ヤーデージ杭を唯一の情報源にプレーをしなければならないのが現状だ。ただし、スプリンクラーのない または 数の少ない ゴルフ場でも ハザードや大きな木などをレファレンスに距離の情報がサンプルの図のようなスタイルで提供されるヤーデージブックやコースガイドが存在することは そう珍しくない。適当なハザードや大きな木など 分かり易い目印が各ホールで適度に存在するゴルフ場の場合は良いが そうしたものがなければ 距離の情報を上手に提供できるヤーデージブックは 作れないだろう。いずれにしても、一般的なヤーデージブックやコースガイドでは それなりに有用な情報を提供してくれるだろうが プレーの決断をする上で使える質の高い情報は 限られたものになる。
♦ プロ仕様のヤーデージブック
一方、プロやトップアマチュアのゴルファーは もちろん 出来る限り正確な情報を得ようとする訳だから 昔から そうした人達用の(一般のものより詳細な情報を提供する)ヤーデージブックが存在してきた。アメリカでは アーノルド・パーマー (Arnold Palmer) のキャディーだった ジョージ・ルーカス (George Lucas) が作成した ジョージ・ルーカス ヤーデージブックが そして 日本では 田中秀道プロの専属キャディーだった サイモン・クラーク(Simon Clark) が作成したサイモンメモ また 女子プロがプレーするコースには ベアーヤーデージブックという 極めて精度の高いヤーデージブックがあり 今では コレクターズアイテムになった観もあるが 多くのツアープロに利用されてきた。
現在、日本で最もよく使われている競技ゴルフ仕様のヤーデージブックは 前述のサイモンメモを原点にもつ TYB18(ザ・ヤーデージブック 18)で 2019年末の時点で 256 コースがカバーされている。詳細は TYB18.com で見て欲しいが、その概要は 以下のようなものである。(出典:TYB18.com)
他にも、類似のヤーデージブックでスマホで使えるアプリになっている Golf Memo というものもあるが 詳細にカバーされているコースの数は少ないようだ。他方、アメリカでは ジョージ・ルーカスのヤーデージブックを StrackaLine という会社が買収し、その会社が グリーンのアンジュレーションの情報を含め コースの情報提供サービスを行なっている。多くのツアープロが これを利用しているが 以下が そのグリーンのアンジュレーションの情報のサンプルである。
♦ GPS 距離測定器
ご存知のように、近年は 高精度な GPS 距離測定器やスマホ用のアプリが出現したため スプリンクラーのないゴルフ場でも 前述のヤーデージの情報は 精度に多少の問題があるものの容易に得られるようになった。中には ピンまでの距離はもちろんのこと フロント、バックまでの距離 さらに グリーンの形状やちょっとしたアンジュレーションの情報まで得られるものも出現している。加えて、常に プレーヤーが打つ方向からのグリーン輪郭を表示し、プレーヤーの移動とともに自動的にグリーンを回転させる機能が付いていたり 各ホールのティーショットの飛距離を記録して保存しておくことができるものもある。ただし、そうした GPS 距離測定器の情報は プロがトーナメントで使用しているヤーデージブックの情報に比べると簡単なものである。
GPS 距離測定器は 1万円以下のシンプルな製品から 2万円前後のスマホサイズのもの そして その中間的なものまで 各種モデルが市販されており 価格に応じた機能やサービスを提供してくれるので ヤーデージブックがなくとも 距離測定器さえあれば 距離に係わる必要な情報は ゲットできるようになった。また、スマホ用のアプリも年間フィーベースのものや 1 コースのデータ買取型など様々なものが出回っている。それに、レーザータイプの距離計も選択肢が多くなり、そうしたものが ルール改定により(ローカルルールで禁止されない限り)競技で使用できるようになったのだから そんな距離計を所持してプレーしない手はない。プロ仕様のヤーデージブックは ともかく 競技やコンペなどでプレーするのであれば 何らかのツールを使わなければ 大きなハンデを背負うことになると言うことだ。各種距離計についての詳細は こちらを参照下さい。