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シャフト(ゴルフクラブの選び方)

このページのコンテンツ
• はじめに
• シャフトの種類と特性
• シャフトの「たわみ」「ねじれ」
• シャフトの硬さ
• トルク、調子、重量の影響
• シャフトの製造方法
• リシャフトと スリーブ
• シャフトの歪と ピュアリング

はじめに


ゴルフ・クラブの性能、向き・不向きに影響を及ぼす要素は 色々あるが 最も重要な要素の一つが シャフト (shaft) の仕様と特性である。自分に最適なクラブを選ぶ上で シャフトに係わる様々な知識が 不可欠なことは言うまでもないが、このページでは そんなシャフトの特性を理解し、自分に 最適と思われるシャフトを選択するために活用して欲しい知識を 右の目次の順に 詳しく 説明する。(目次のタイトルを クリックで 拾い読みも)

シャフトの種類と特性


シャフトシャフトの種類 及び 仕様と特性は その素材、重量、形状、加工・製造方法などによって異なるが、まず、その素材によって 一部に 例外的なものはあるものの 大きく (1) カーボン・シャフト(グラファイト・シャフトとも言う)と (2) スチール・シャフトに分類される。より遠くへ飛ばすことが目的の一つであるドライバーは ほとんどが(樹脂と炭素繊維などで作られる)グラファイト・シャフトになっているが、アイアンは 遠くへ飛ばすことよりも 正確さが要求されるクラブで 相対的に重く 確りした感触の得られる(ステンレス鋼で作られる)スチール・シャフトの人気が高い。また、グラファイト・シャフトは 相対的に高価なものが少なくなく、自分の望むスペックと品質のシャフトが 極めて高価なものになってしまう可能性も否めない。

クラブの特性は シャフトの硬さ、長さ、重量、重量配分(バランス・ポイント)、キック・ポイント(調子)、トルク、また、加工精度の問題などに大きく左右されるが、加えて、シャフトとヘッドの相性やクラブ全体の重量とそのバランスなどにも 左右される。特に、クラブヘッドの重量、重心距離、重心角、そして、その慣性モーメントなどのシャフトとヘッドの相性への関与は大きい。

一方、ヘッド・スピードとスイングのタイプ、即ち、ヒッターかスインガーか(詳細後述)によってどのようなシャフトが向いているかは 概ね 決まると言える。 ヘッド・スピードが早く 力のある人、所謂、ヒッターは 硬くて、重くて、トルクの低いものが適しているし、ヘッド・スピードが早くても、スインガーと言われるタイプのプレーヤーは あまり硬くなく、トルクも中程度のシャフトが一般的に合っていると考えられている。また、ヘッド・スピードの遅い人は 逆の設定、つまり、軟らかくて軽め のシャフトを選ぶべきだろうし、ボールをより高弾道で打ちたい人は ロー・キックポイントで先調子のクラブが合う可能性も高いだろう。また、アイアンでも グラファイト・シャフトや 軽量スチール・シャフトが オススメだ。(詳細後述)

シャフトの 「たわみ」「ねじれ」


シャフトは ダウン・スイングの時に 鞭のように「たわむ」が その力を上手く利用することで 同じスイングでも クラブ・ヘッドのスピードを 10% 〜 15% 早くすることが出来ると言われる。そのパターンを 右図を使って説明すると (1) の腕がゆっくり加速しながら落ちて シャフトに力が「たわみ」という形で蓄えられるステージ、(2) の腕の動きの加速モードが終わって シャフトの「たわみ」が リリースされ始めるステージ、(3) のシャフトとクラブ・ヘッドがキックする形で リリースされて 蓄えられた力が エキストラの力を生み出すステージ、そして (4) の フォロースルーのステージに分けられる。

どのようなシャフトが合うのかを 単にヘッド・スピードだけで決められない理由は 主に この (1) (2) (3) で力が蓄えられ、その力が放出される リーリースとキックのパターンとタイミングが それぞれのスイングで異なるからである。前述のヒッターは (1) と (2) のスピードが 比較的 早いのに対して、スインガーの場合は (1) と (2) のスピードを抑えておいて (3) で クラブ・ヘッドのスピードを上げるスタイルだから ゆっくりした テンポのスイングになる。(» グリップ・スピード)加えて、シャフトの「ねじれ」方向への力、即ち、適正なトルクのシャフトの選択(詳細後述)に影響を及ぼすと思われる 腕と手首の使い方、つまり、プロネーション、スーピネーションの程度やパターンも 個々のゴルファーによって異なるから シャフト選択の基準は 極めて 複雑になる訳だ。» 参考

また、シャフトの「たわみ」が大きくなるに従って ボールの打ち出し角が高くなる と同時に バック・スピン量が多くなって行くという現象が起きる。そして、それが大きくなり過ぎれば そこからは ヘッド・スピードが上がっても 飛距離は 伸びない それどころか 逆に 下がってしまうことになる。つまり、飛距離に重点を置くのであれば 打ち出し角とバック・スピン量の最適化を図ることの出来る シャフトと ヘッドの組み合わせに着目し 最適化を図る必要があり それが シャフト選びでは 極めて 大切なポイントになる。

いずれにしても、この「たわみ」のリリースとキックが 最適なタイミングで 起きるようにし、且つ、「ねじれ」方向の運動が コントロールし易い シャフトと ヘッドの組み合わせを選べば良いことになる。上手くコントロール出きれば「たわみ」も「ねじれ」も大きい方が その生み出すエネルギーは 大きくなるという理屈になるが 「たわみ」も「ねじれ」も大き過ぎれば コントロールは し難くなるし 打ち出し角とバック・スピン量に悪影響を及ぼす。また、クラブ・ヘッドの重さを 上手く感じるためにも 適度な「たわみ」と「ねじれ」が必要と考えられる。一般的には 柔らか目なシャフトの方がクラブヘッドの感触が伝わり易く、ドローを打ち易くなるが 柔らか過ぎれば 球が吹き上がったり 好ましくないフックが出易くなる。逆に、硬過ぎるシャフトでは ヘッドの重さを感じることが出来ず ボールが上がらなかったり プッシュアウトやスライスが出易いという傾向になる。

シャフトの硬さ


シャフトの硬さは 基本的に「たわみ」の量に直結するものだが 柔らかい方から順に(J、L、A)R、(SR)、S、X、(XX)と表示される。硬いシャフトは 同じヘッド・スピードであれば「たわみ」が小さくなる理屈で、例えば、40 m/s 以下のヘッド・スピードの人は S 以上の硬いシャフトは 避けた方が良いといったような目安に使われる。

シャフトの硬さ

シャフトの硬さの測定方法には シャフトに重量をかけて そのたわみ量を計測する ベンド測定法と シャフトのグリップ部を固定してクラブを振動させて その振動数を測定する 固有振動数測定法とがある。最近では R、S、X といった表示の他に この振動数を表す数値が シャフトに表示されていることが良く見受けられる。振動数が毎分 260 (CPM) であれば 6.0、また、270 であれば 7.0 といったように表示するのが一般的で 同じメーカーの同じタイプのシャフトであれば 5.5 のシャフトは 6.0 のシャフトより 柔らかいことになる。しかし、この方法では シャフト・ティップ(先)の特性を示す尺度にはならないなどの問題もある。そのような状況下、各メーカーが独自な方法でシャフトの硬さを表示しているのが現状で A社のシャフト S が B社のシャフト S よりも 全般的に硬く感じる などの現象が見られるだけでなく、同じメーカーのシャフトでも シャフトの種類によって 硬さの感覚に違いが出るというような状況も見られる。つまり、シャフトの硬さの表示は 非常に 分かり難くなっているのが実態で メーカーの表示は 参考値として使うべきだという考え方にもなっている。また、同じ S でも US スペックのクラブの方が 全体的に硬めなシャフトである といったようなことも言われている。

一方、メーカーによっては R 200、R 300、R 400 など という表記をするが、これは シャフト重量の(2g 単位)違いを示すもので、R 200 は R 400 より軽く柔らかいシャフトであるということになり、そうした同じ振動数のシャフトの硬さの感触を表記するものという意味で こうした表記方法を サブ・フレックス (sub-flex) と呼んでいる。

トルク、調子、重量の影響


なお、曲げではなく、ねじれ方向の硬さの指標となるトルク (torque) も シャフトの変形とクラブのリーリースに大きな影響を与える要素である。トルクの低いシャフトは スイング時の「ねじれ」が小さくなる訳だが、感覚(フィーリング)的には 同じ硬さ(stiffness)のクラブであれば トルクの小さい、所謂、ロー・トルクのシャフトの方が 硬く感じると考えれば良いだろう。つまり、より硬い感じのするシャフトを 使いたければ スティッフで ロー・トルクのシャフトを 選べば良いことになる。一般的に、スチール・シャフトのトルクは 低く、アイアン用で 1.7 ~ 2.0、また、ウッド用では 2.5 ~ 3.0 といった範囲だから、トルクを ベースに選択する余地がないが、グラファイト・シャフトは そのバリエーションが大きく、選択の幅が広い。グラファイト・シャフトは 2.0 ~ 7.0 位までの製品があり(3.0 ~ 6.0 の製品が最も多い)トルクが 3.0 以下のシャフトであれば、ロー・トルクのシャフトと考えて良いだろう。一般的に、ロー・トルクなグラファイト・シャフトは 高価なものが多いと言える。

また、キック・ポイント(調子)もシャフトの感触に大きな影響を及ぼす。通常は ロー・キックポイント(先調子)のクラブの方が 相対的に柔らかく感じ ボールが上がると考えれば良いだろう。最近は 調子が フライテッド(flighted)と表記されたクラブも多く見られるようになっているが それは 所謂 フロー・デザインの一種で ショート・アイアンでは 手元調子、ミドル・アイアンは 中調子、そして、ロング・アイアンが先調子といった具合に調整されたシャフトのことである。なお、キック・ポイントのことを ベンド・ポイント (bend point) とも言い BP などと表記されることもある。

さらに、最近では シャフトの先端部 (tip) もしくは グリップ部 (butt) の硬さと トルクを意図的に硬く ロー・トルクに したシャフトも出回るようになっている。先端部の硬いシャフトは ティップ・スティッフなシャフトとか スティッフ・ティップ・シャフト (stiff-tip shaft) などと呼ばれ ボールの吹き上がりを押さえる効果と 芯を外したショットのヘッド部の捻れを抑える効果があるなどと言われている。(» ギア効果)また、スイング・テンポの早い、所謂、ヒッターには グリップ側が硬い バット・スティッフなシャフトが適しているとも言われる。

ドライバー用のグラファイト・シャフトで 軽いシャフトは 40 ~ 55g で、重めなものは 70 ~ 90g クラスのものまである。しかし、日本で市販されている ドライバーでは シャフト重量が 50g 台のものが圧倒的に多く、やや重めなものが 60g 台、そして、70g 台のシャフトまでは 一般に良く見かけるが それ以上重いシャフトのクラブは 極めて 少なくなる。» 商品情報

一方、アイアン用 スチール・シャフトは カット前のシャフト重量が 90 ~ 130g のものが 最も 一般的だが、最近では 80g 以下の超軽量スチール・シャフトも 出回っている。逆に、重いシャフトは 130g 以上のものまである。また、チタンのシャフトなども一部で利用されるようになっている。さらに、スチール・シャフトのバリエーションが 最近では増え、ライフル・シャフト(ステップのないシャフト)や手元がグラファイトで先はスチールのシャフト、さらには、シャフトの径やテーパーが従来のものとは異なったものなど 様々なスタイルのものが出回っている。 » アイアン用 スチール・シャフトの詳細

シャフトの重量に関しては 通常 重めのシャフトは トルクが低く、力のあるプレーヤー用の仕様になっていると考えれば良いだろう。最近のドライバーは 相当 きめ細かに シャフトの仕様を決められるので 十分配慮して 自分に最適な シャフトとヘッドの組み合わせを見つけ出すようにして欲しい。 » ドライバー選びとスイング解析

シャフトの製造方法


ここで 簡単に シャフトの製造方法について説明しておこう。まず、グラファイト・シャフトは 左下の動画のように 複数のカーボン・シートを何枚も芯棒に巻き付けて成型し、高圧ローリング、キュアリング、機械加工、品質テスト、仕上げ加工という手間のかかる工程を経て作られる。自動化されていない工程が 少なくないので 生産コストは 応分に高い。一方、スチール・シャフトは ステップ・タイプと ステップレス・タイプに大別されるが 一般的なのは ステップ・タイプで その生産の様子を紹介したのが 右下の動画だ。スチール・チューブを テーパー・マシンに取り付け それを金型に差し込むようにして ステップを付け 細く 長くして 最終製品に近いものが出来上がるが 比較的 コストの掛からない生産工程である。下は 英語の動画だが それぞれの製造方法が ある程度 分かるものなので 興味があれば 見て欲しい。

カーボン・グラファイト・シャフト
スチール・シャフト

リシャフトとスリーブ(シャフト脱着式)


リシャフトをすることで、場合によっては、より打ち易いクラブに変身することもある。リシャフトでは まず シャフトをヘッドから抜く必要がある。具体的には ソケットを ヒーターで暖めて柔らかくし、柔らかくなったところで シャフトに傷をつけないように ソケットを切り取る。次に、ヘッドのホーゼル部分を暖めて 接着剤を柔らかくして ヘッドを抜きやすくしてから シャフト抜き機で こつこつ引っ張って ヘッドを抜く といった手順だ。次に、取り外して 綺麗にしたヘッドに 新しいシャフトを取り付けるが、ヘッドに必要に応じて アダプターなどを取り付けてから シャフトを差し込み接着剤で ヘッドに固定する。最後に グリップを取り付ければ作業完了だ。かなり手間の掛かる作業であるし 気に入らなかったからと言って 簡単に やり直しが出来るものではない。リシャフトで良い結果が得られる確率と そのコストを考えると かなり リスクが高いものであることは否めない。

スリーブしかし、最近のドライバーや フェアウェイウッドは シャフトの先端に 右の写真のようなスリーブが 付いている 所謂 着脱式で 調整機能が付いたモデルが多くなった。そうしたクラブでは シャフトが簡単に着脱できるので、ある意味、一眼レフのレンズを交換して カメラを使う感覚で シャフトの交換が出来るようになった。

右図 (A) のように シャフトの先端部にスリーブ a2 を付けて その軸を シャフト a1 の軸に対して数度傾けて、それが回転・固定できるようにしておけば、その範囲内でシャフトの差込角を調整し、フェース角とロフトの組み合わせが変わるクラブが出来上がる。ただし、(A) のようなスリーブの構造では シャフトの差込角の調整は かなり限定的なものになる。そこで、(B) のように b1、 b2、 b3 から成る 二段階で調整可能なスリーブにすることで シャフトの差込角の調整の自由度は 大きくなる。最近は このより高機能なスリーブ(可変メカニズム)を装着したものが 多く出回るようになった。

しかし、一眼レフカメラのレンズが メーカーごとに違うように ゴルフクラブのシャフトに取り付けられているスリーブは メーカーやモデルごとに違うから リシャフトできるのは同じタイプのスリーブが付いたシャフトに限られるのが現状である。従って、必ずしも、同じメーカーのドライバーに付いていたシャフトだからといって 他のモデルのヘッドにも取り付けられるとは 限らないので その点は 要注意だ。» 詳細

シャフトの歪と ピュアリング


最後に、シャフト(特に、グラファイト・シャフト)の直線性や対称性(真円度、板厚)といった観点からの歪について説明しよう。完全に真っ直ぐで 真円、均一な板厚のシャフトを作ることは出来ないから シャフトには そうした意味での歪がある。そうした歪のあるシャフトを無造作に装着すると スイング時のクラブ・ヘッドの向きや軌道に悪影響を与えることになり、安定性を欠くクラブになってしまう。ところが、その歪に対して ある方向に クラブヘッドを装着すれば 歪の影響は 最小限になる という性質があり、その点に着目したのが シャフトのスパイン・アライメントとか ピュアリングなどと呼ばれる調整法である。アマチュア・ゴルファーの間では あまり 普及していないが ツアー・プロの間では ピュアリング・プロセス(Puring Process)と呼ばれ 多くのトップ・ツアープロが利用するようになっている シャフトの取り付け方である。

シャフトにかかる応力一方、シャフトのスパイン・ファインダー (Spine Finder) という ベアリングを使った簡単な器具で シャフトのスパイン、即ち、背骨とも言える 硬い箇所を見つけ、それに対して 一定の向きに(例えば、重心角に合わせて)クラブヘッドを装着する方法は スパイン・アラインメント (Spine Alingment) と呼ばれるテクニックである。右の参考図は そのスパインを強調したものになっているが このような歪のあるシャフトを クラブヘッドに付ける時に (R) の方向から応力が掛かるように 装着すれば それを振った時に ヘッドは 安定した動きをせずに 暴れるが 板厚の厚い (S) の方向から応力が掛かるように ヘッドを装着すれば ヘッドは安定した動きをするという発想のシャフトの装着方法である。ただし、板厚の厚い箇所が そのシャフトのスパイン(背骨)になるが シャフトには 程度の差こそあれ それが 幾つもあるのが普通である。下の動画は 正しく シャフトが装着されていないクラブが暴れる様子、また、正しく装着されたクラブでは それが見られない という違いを写したものだが、実は 簡単な スパイン・ファインダーを使用した スパイン・アラインメントの手法(例えば、ヒール・トーのラインや重心角をスパインに合わせるような方法)では クラブの暴れを上手く抑えることは 難しいと言われている。


そこで 考えられたのが FLO (Flat Line Oscillation) による スパイン・アラインメントだが スパインが どこにあるかは チェックせずに 動画のようなプロセスで シャフトが暴れないような装着角を見つけ出す方法によって スパインを アラインする手法である。前述のピュアリング・プロセスは FLO の原理を 主に 使った方法で スパイン・アラインメントの一手法と言える。ただし、FLO による スパイン・アラインメントは 他の手法に比べ 優れているとは言えるものの 人間がクラブを振った時のヘッドとシャフトの挙動は 極めて 複雑だから 必ずしも ベストな結果を導き出してくれる方法だとは言い切れない側面もある。




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