
2010年全米プロゴルフ選手権・プレーオフ
第 92回全米プロゴルフ選手権(於 Whistling Straits)は ドイツのマーティン・カイマー (Martin Kaymer) が プレーオフの末に アメリカの ババ・ワトソン (Bubba Watson) を破って優勝した。因みに、PGA Championship のプレーオフは 3ホールのストローク・プレーによるもので 3-hole aggregate-score playoff と英語では言う。10 - 17 - 18 番ホールの 3ホールで行われたが、10番で ババ・ワトソンが、そして、17番では マーティン・カイマーが バーディーを奪い、強い向かい風が吹く 18番ホール (500 yards) でのマッチプレーのような形になったが、2打目を ウォーター・ハザードに打ち込んでしまった ババ・ワトソンが、このホールを ダブルボギーとしてしまい、2打目を レイアップして 安全にプレーしたカイマーにメージャー初勝利が転がり込んだ。
今回のプレーオフは この日 最終組で プレーをしていたダスティン・ジョンソン (Dustin Johnson) が、最終ホール 3メートル足らずのパー・パットを沈めて優勝するかにも見えた。そして、そのパットが外れた時には 3人によるプレーオフになるかと思われたのだが 思わぬハプニングが起きた。18番ホールの 2打目のプレーに係わるペナルティで 彼に 2打罰が科されてしまったのだ。
最終ホールを 1打リードで迎えた ダスティン・ジョンソンであったが、そのティーショットを 大きく右にプッシュし 大勢のギャラリーが観戦していたエリアにボールは転がった。そして、そのボールは 小さなバンカーとも そうではないとも思えるような所に止まったが、そのボールを打つ前に、彼はクラブを ソール(地面に付けること)してしまったのである。観客が その中に入って観戦しているようなエリアで フット・プリントもあるような状況だったから 彼にも 周りの観客にも そこがバンカーであったという認識はなかったようだ。残念ながら、プレー後に ビデオを見せられて ペナルティに該当するプレーであったことを 同選手が認める形となった。
今回のトーナメントでは コース上に ウェィスト・バンカーはなく、全てのバンカー、もしくは、人口の砂地は ハザード としてプレーされなければばらないと言う注意が 出場選手や関係者に 予め 念入りに 知らされていたので、ハザードだったかどうかという論議にはならなず、比較的 オートマチックな処置だったようだ。ご存知のように ハザード内では クラブを ソールする(地面に付ける)ことは出来ない (規則 13-4) と定められている。
一方、プレーオフの最終ホールでも ハザードのルールに係わる プレーがあった。2打目を ラテラル・ウォーター・ハザードに入れた ババ・ワトソンには 三つの(選択に迷う)選択肢があった。即ち、(1) ボールが境界線を最後に横切った地点から 2クラブ・レングス内で、しかも、ホールに近づかない所のハザードの外側に ボールをドロップする、(2) 対岸の 同じ距離にある地点から 2クラブレングス以内で、しかも、ホールに近づかない所に ボールを ドロップしてプレーをする、そして、(3) ウォーター・ハザードの境界線を最後に横切った地点とホールとを結んだ線上で そのウォーター・ハザードの後方に(フェアウェーまで下がって)ボールをドロップする の何れかである。
結局、彼は (1) を選択し、グリーンをオーバーした結果 ダブルボギーとしてしまい、ボギーでホールアウトしたカイマー選手に敗れる結果となった。テレビのコメンテーターは (3) の選択肢であれば、8番アイアン位で打つことが出来たはずで、その方が(スピンを 利かせてボールを ピン傍に止める可能性が高いように見えたから)良かったのではないか とコメントしていたが、ババ・ワトソンが その選択肢を 真剣に考えたかどうかは 知る由もない。
いずれにしても、2010年の全米プロゴルフ選手権は、ハザードからのプレー、もしくは、ハザードで救済を受けるプレーでは、コース・マネジメントのことやルール上のミスを犯さないように、十分気をつける必要があるということを 再確認させられる結果となった。