
ボールにアドレス|ルール解説


♦「アドレス」という用語の定義
ゴルフボールを打つために構える動作や その構え自体のことを 「アドレス」 と言うが 球にアドレス (Addressing the Ball) という ゴルフ用語を ルールブックでは 以下のように定義している。 プレーヤーはスタンスをとっていたかどうかにかかわらず、球の直前 または 直後の地面にクラブを置いた時に そのプレーヤーは 球にアドレスしたことになる。
♦ 2012年のルール改定
上述のルール改訂前は ボールの後ろにクラブを ソールしたら最後 アドレスの状態を解いても ルール上は アドレスの状態が続いたので その時に 例えば 突風が吹いて ボールが動けば ペナルティが科された。従って、ボールが不安定な状態で アドレス後に アドレスを解く場合は ボールを 一度マークし直して ボールを リプレースすることで アドレス前の状態に戻す(スロー・プレーの原因になる)行為が 速いグリーンで傾斜のある所にボールがある時は 特に 良く行われた。また、プレーヤーによっては ボールの後ろにクラブを ソールしない(地面につけない)などの 安全確保の行為をする人も居た。ルール上は ボールを打つための構えに入っていても クラブを ソールしていなければ アドレスの状態に入ってないとの解釈になるからだ。

因みに、規則 18-2 の記述は 以下の通りである。「プレーヤーのインプレーの球がアドレスした後で動いた場合(ストロークの結果として動いた場合を除く)プレーヤーは その球を動かしたものとみなされ 1打の罰を受ける。プレーヤーが ストロークを始めた後や ストロークのために クラブを後方に動かし始めた後に 球が動き、その球をストロークしてしまった場合を除き、その球は リプレースされなければならない。例外:プレーヤーが球を動かす原因となっていないことが分かっているか、ほぼ確実な場合、規則 18-2b は適用しない。」 つまり、不安定な場所にあるボールが アドレス時に動けば プレーヤーが球を動かす原因になっていないと言い切れなければ ペナルティが科された訳だ。(ただし、2019年のルール改定で この問題は 解決されることになった。)» 詳細
♦ 規則 18-2 の公平性と合理性
いずれにしても、アドレス後のボールの動きに対する不合理と思われた罰則のあった旧規則 18-2 の公平性と合理性、加えて、スピードプレーの観点などに鑑み、2012年のルール改定、即ち、アドレス後であっても プレーヤーが そのボールを動かす原因となっていないことが分かっているか、ほぼ確実である時は プレーヤーに対する罰を免除するとの新しい例外規定が追加された訳で 大きな改善だったと言えよう。
そうした状況下にあって起きた 2016年全米オープンの裁定騒動は、ルールブックに記述されている文章を競技委員がどう解釈し、裁定を下すべきか、ということに対して大きな疑問を投げかけた。ボールの傍にクラブをソールした場合、その直後にボールが動けば、事実関係に拘わらず、プレーヤーが球を動かす原因になっていないと言い切れないと判断されても仕方がない。それが 2016年全米オープンの裁定の主旨だと言えよう。大多数のゴルファーが納得しないような解釈がなされたようにも思えるが、こうしたルール裁定の原則は 刑事裁判での有罪を証明しない限り 被告人は 無罪という(推定無罪の)考え方とは 明らかに異なることを認識しておくべきであろう。
♦ その他の注意点
なお、風や理由の分からない原因でボールが動いた時は ボールを元の位置に戻すことなく そのボールが止まった所から プレーをする必要があるが 風に飛ばされてきた小枝、紙、空き缶、ビニール袋や動物など、局外者に該当するものによってボールが動かされた場合は(» 詳細)元の場所にボールを リプレースして プレーをしなければならない。いずれの場合も 対応を間違えば 誤所からのプレーで ストローク プレーでは 2打罰、マッチ プレーでは そのホールの負け というペナルティが科される。