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世界のゴルフ事情

Introduction

オリンピック112年の時を経て ゴルフが 2016年のリオデジャネイロ オリンピックから 正式種目に復活した。そして、東京 2020 のオリンピックでは そのゴルフ競技が 霞が関カンツリークラブ で行われる。そんな中、世界中のゴルフ人口が増加していると思っている人も居るだろうが 実は 近年 ゴルフをする人の数は 減少に転じている。R&A が公表ているレポート「Golf around the world」を見ると その事実が明らかになってくる。

世界のゴルフコースの数

下のテーブルは そんな R&A が公表した レポートの 2015年、2017年、2019年版のデータから 近年 ゴルフ場の数がどのように推移したのかを纏めたもの(2019年を加えた改訂版)である。

Golf Score Card
2015
2017
2019
Land area (000 km²)
148,429
147,554
147,553
Countries
239
245
249
Golfing countries
206
208
209
Golf facilities
34,011
33,161
32,471
Golf holes
576,534
567,111
556,176
18-hole equivalent
32,030
31,506
30,899
18-HEQs u.d.
696
556
534
Population (000)
7,247,241
7,422,607
7,632,819
Private clubs/courses*
9,895
8,204
9,576*
Public clubs/courses*
24,116
24,957
29,288*
Population / golf hole
12,570
13,088
13,724
(出典: Golf around the world 2015、2017、2019)
世界のゴルフ場 (facilities) の数
エリア
2015年
2017年
2019年
全世界合計
34,011
33,161
32,471
北米
18,145
17,748
NA
 米国
15,372
15,047
14,640
 カナダ
2,363
2,295
2,265
 メキシコ
237
239
253*
南米
663
658
NA
 アルゼンチン
319
316
314
 ブラジル
123
122
NA
 チリ
77
77
NA
 コロンビア
60
60
NA
ヨーロッパ
7,403
7,233
NA
 イングランド
2,084
1,991
1,936
 スコットランド
552
540
568
 ドイツ
747
747
736
 フランス
648
637
643
 スウェーデン
491
485
471
アジア
4,778
4,570
NA
 日本
2,383
2,290
2,227
 韓国
447
444
440
 中国
473
383
385
 インド
270
267
294*
 タイ
253
240
236
オセアニア
2,111
2,067
NA
 オーストラリア
1,628
1,591
1,532
 ニュージーランド
418
410
401
アフリカ
911
885
NA
 南アフリカ
512
484
470
 ナイジェリア
52
51
54*
 ケニア
41
42
43*
 モロッコ
36
40
56*
上表 "Golf around the world 2015、2017、2019" のテーブル中に含まれるデータで まずはじめに説明しなければならないのは データのまとめ方が 2019年版になって 一部変更されたことだ。まず、private clubs/courses と public clubs/courses だが、2015年、2017年のデータでは private clubs、public clubs としてデータがまとめられていたが、2019年版は private courses、publicly accessible courses と変更されており(18ホール以上を有するクラブがあるため)数字は 大きくなっているが、ゴルフコース・ホールの数は少なくなっている。

また、英語表記の分かりにくいものについても簡単に説明しておこう。まず、18-HEQs u.d. だが u.d. は under development の略で これで 18 ホールのコース相当の新コース建造プロジェクトの数を意味する。つまり、新しいコースは 世界中で常に造られ続けており、その数を示したもので、世界で見ると この間に 新たなゴルフコースは 幾つも建造されたが 一方で それ以上に多くのゴルフコースが封鎖され 結果的に ゴルフ場 (golf facilities) の数は 減少している。人口が増えているにも拘らず こうした結果になったのは 世界中で ゴルフをするだけの "ゆとり" のある人の数が減少し ゴルフの人気が 相対的に 低下したことを意味するものだと言っても良いだろう。

一方、前述の報告書で公表されたデータを基に ゴルフ場 (golf facilities) をエリア別に 時系列で整理したのが 右のテーブルである。例えば、日本では 2015年からの四年間で 2,383 → 2,227 と 156 のゴルフ場が封鎖した。それでも R&A によれば 日本には 45,684 ホール相当のゴルフ場があり、アメリカの 248,787 に次いで 世界第二位のゴルフ大国である。因みに、第三位は 英国だが、R&A のデータでは England、Scottland、Wales などに分けたデータで発表されている。コースの数で見ると日本は 3,169 で 前述の英国3エリアの合計 3,070 より 99 コース多い。そして、カナダが 2,633 で 第四位。なお、2019年版の統計データが ゴルフ場の数よりゴルフコースの数に重点を置く形式になり ゴルフコース数の世界のトップ 20 に入らない国については (コース数のデータは 公表されているが) ゴルフ場の数のデータが公表されなくなった。2019年のゴルフ場数で * の付いているものは そうした国のコース数の数字でゴルフ場の数より大きな数字になっている。また、2019年の5大陸のゴルフ場 (facilities) の数が NA になっているのは 以上のような変更があったためである。但し、コース数もホール数も減少している訳だから、その数が減少していることは 間違いない。

他方、2015年 〜 2017年に 中国では 全体の2割近くのゴルフ場が封鎖されたが それは 国家主席である 習近平氏の影響が大きい。彼は ゴルフが 中国政府高官の汚職や接待の温床になっていると考え 2015年に 66 コースを一斉に閉鎖した。ただ、ゴルフ場を減らしても 汚職をする人達の考え方や行動が変わることはないはずで 中国における ゴルフの発展は 国家主席の思い込みによって 阻害されたと言わざるを得まい。また、同時に 減少率が大きかったのは 大きい方から順に 南ア -5.5% タイ -5.1% イングランド -4.5% で 日本の減少率は その次に大きかった。日本では この二年間に 93 のコース (-3.9%) その後の二年間で 63 (-2.8%) が封鎖されているが 新しいゴルフ場は ここ暫く 造られていない。また、最大のゴルフ人口を誇る 米国でも ゴルフ場の数は 最初の二年間に 325、その後の二年間で 407 の計 732 も減少している。プライベートクラブの数が激減し 新たに造られたコースの多くは パブリックコースだが その殆どが 庶民には手を出し難い 高級リゾートコースである。比較的 好景気で 人口増加が続いている 米国でさえ このような現象が見られた訳だから 日本において ゴルフ場の数が減り ゴルフ人口が減少するのは 当たり前のことなのかも知れない。想像の域を脱しないが 所謂 ミドルクラスの 比較的 経済的に ゆとりのある人達の数が世界的に減っているのであろう。

上のテーブルにはないが ゴルフコースが多く存在する国には スペイン (497 / 413)、アイルランド (494 / 438)、デンマーク (346 / 193)、オランダ (330 / 220) などがある。カッコ内の数字は 2019年のそれぞれの国のコース数とゴルフ場数である。

ゴルフ人口の推移

ゴルフ人口分布各国のゴルフ人口の多寡は 当然かもしれないが ほぼ ゴルフ場の数に比例している。少し古い 2008年のデータになるが (相対的な比較の目的には 有意義なので) 世界のゴルフ人口の分布を国別に見ると右の円グラフのようであった。1位は アメリカ合衆国の 2,860万人だが その内 年に 8 回以上ラウンドをする人が 1,660万人だ。 2位は 日本の 950万人、3位が カナダの 640万人 そして ゴルフ発祥の国とされる英国が 4位で 400万人。ただし、英国は その内 年に 12 回以上ラウンドをする人は 165万人 / 内、57万人は 最低週 1 回プレー / 110万人が 年間平均 40ラウンド前後プレーするプライベート・クラブの会員 という状況で ゴルフをやる人たちの本気度は 日本のそれとは 少し違うようだ。いずれにしても、この トップ 4カ国によって 世界のゴルフ人口の約 3/4 が占められている。

2016年と 2019年の「レジャー白書」によると 2015年、2018年の 日本のゴルフ人口は それぞれ約 760万人、670万人であった。1994年の ピーク時には 1,450万人だった訳だから それからの約 25年で 半数以下になったことになる。この間に 起きたことがもう一つある。それは 日本の ゴルフ人口の高齢化だ。60歳以上の人が半数以上になった。近年は 若い人の参加率が上昇気味なようだが まだ十分とは言えず このままでは 日本のゴルフ人口が 500万人を割り込むのも そう遠い未来の話ではなくなるだろう。

一方、アメリカ合衆国のゴルフ人口は 2005年に ピークの 3,000万人を記録したが その後は 減少し 2012年には 2,500万人近くまで減少。その後は一進一退の状況が続いている。但し、インドアの施設や飲食をしながらドライビングレンジで球を打つ エンターテイメント施設などで ゴルフを楽しむ人が 1,000万人近くいて、そうした人を含めれば、アメリカのゴルフ人口は 3,400 〜 3,500万人に達すると考えられている。

実は 世界のゴルフ人口の将来という面から見ると 中国とインドが 注目されていた。Asian Professional Golf Association によれば 2009年の時点で 中国には 約 200 のゴルフ場があり ゴルフ人口は 少なく見ても 100万人に達していて 年率 20% ~ 30% というスピードで増加すると見られていて、将来的には その数年内に ゴルフ場の数が 500 ~ 1000 に達すると考えられていた。同時期に インドも 同じように 約 200 のゴルフ場があり そのゴルフ人口は 50万人ほどで その後の数年は 毎年 30% 近いペースで ゴルフ人口が増加し それにマッチするペースで ゴルフ場が建設されると言われていた。しかし、中国でも インドでも ゴルフ場は 増えたものの 当時の予想を 遥かに下回った。

ゴルフの未来

国連によれば 世界の人口は 1800年に 約 10億人だったが 1927年に 20億、1961年 30億、1971年 40億、1987年 50億、1999年 60億 そして 2011年に 70億に達し 2020年には 78億人に達しているそうで どうも 2050年には 90億人以上になるというのが大方の予想のようだ。なお。2020年の人口分布を国別に見ると トップが中国の 14.4億、次いで インドの 13.8億 そして アメリカの 3.3億人となり さらに インドネシア、パキスタン、ブラジル、ナイジェリア、バングラディッシュ、ロシアと続き、日本は 10位のメキシコの 1.29億人に次いで 11位の 1.26億人となっている。

ところで、ゴルフをする人の割合という観点から 国別に そのトレンドを見てみると カナダは 2015年の総人口 3,600万人に対して 570万人 (2008年は 640万人) が ゴルフをすると言うから、約 1,000人に 158人 (15.8%) と 極めて高いパーセントの人が ゴルフをしていることになるが 2008年には 19.1% だったから かなりダウンしている。時を同じくして アメリカも 9.1% から 8.3%、英国が 6.5% から 6.1%、日本は 7.5% から 6.0% へと参加率は 低下した。どの国も 2015年の参加率は 2008年の水準を大きく下回っており、その後も減少傾向にある。英国の調査機関 Sports Marketing Surveys によれば 2005年の世界のゴルフ人口は 6,400万人で 世界的に見ると 約 1,000人に 1人 (0.1%) が ゴルフをしていたことになるが 2017年までに その数は 6000万人程度になったと推定され それから計算すると 参加率は 約 1300人に 1人 (0.08%) にまで下がったことになる。

R&A と USGA は ゴルフの普及に資する (1) ルールの簡略化 (2) プレーのスピード化 を狙い 2019年から ルールの大幅な改訂を行った。ゴルフの衰退にストップをかけるために ゴルフ界は 正しい方向に 一歩を踏み出したと言えよう。伝統や古い価値観を守ることばかりに目を向けるのではなく 時代の流れを直視し 今後も 引き続き ドラスティックな改革を積極的に進めて行かないと ゴルフの未来に明るさは 見えてこないだろう。

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