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ゴルフボールの コンプレッション

このページのコンテンツ
• はじめに
• ATTI 法 - コンプレッション
• インパクトの瞬間のボール
• ショアD (ShoreD) 硬度
• 最近のトレンド
• 商品リンク(用品、メーカー別)

はじめに


柔らかいゴルフボール20年以上 ゴルフをやっている人なら ゴルフボールのコンプレッションが ボールの硬さを示す指標であることを 知っている人が 殆どだろう。昔は 糸巻きボールが良く使われたが ゴルフボールのスペックの一つとして コンプレッションが 必ず ゴルフボールの箱に 明記された。どのボールも コンプレッション 90 か 100 のボールとして売られ ヘッドスピードが速い人向けのボールは 硬い方の 100 だと言われていた時代があった。しかし、近年は ヘッドスピードが速くても コンプレッション 70 のボールを使う人が居る時代である。ここでは そんな ゴルフボールの硬さについて 少し詳しく 解説する。

ATTI 法 - コンプレッション


ボールに 一定レベルの負荷をかけて押しつぶし その変形の度合いに応じて 硬さを数値化する ATTI 法という 米国企業が 1942年に特許を取得した コンプレッション測定方法があり それが 昔から良く使われてきたが ゴルフボールのコンプレッションが表記される場合は その数値が用いられるのが 今でも 一般的である。

安価なツーピースボールは 別にしても 近年は マルチレイヤー ソリッドコア 所謂 多層構造のボールが 主流になり メーカーは ボールを構成する各層の厚み、硬度、比重などの組み合わせの最適化を図ることで 飛びやスピン特性などの性能の向上に努めてきた。コンピューターの性能の飛躍的な向上もあり、材料と構造設計に粘弾性を考慮した FEM 解析なども活用されるようにもなった。その結果、軟らかくて 高反発なボールが数多く売られるようになり ボールに コンプレッションが表示される形で売られることは 殆どなくなった。

インパクトの瞬間のボール


ここで 下の動画を見てみよう。これは ゴルフボール (Pro V1) が ドライバー ショットのインパクトの瞬間に どうなるのかを見せるために 編集されたものである。

(インパクトの瞬間の ゴルフボール)

ボールの挙動
タイトリストの R&D チームが 22,000 frame/sec の 高性能 ハイスピード カメラで 撮影した映像で Paul Furze 研究員によれば 時間にして 3 ~ 4 frame 相当 即ち 1/7333 ~ 1/5500 秒という短時間だが ボールは 押しつぶされて フェースに くっ付いている。右の写真からも 確認して欲しいが その後 フェースから離れる時に ボールのフェースに接していた側は 少し 伸びて変形し さらに その後には 逆に 僅かだが 収縮するように 変形する。この動画の画像を 定量的に分析してみると そのヘッドスピードは 不明であるが ボールが最も変形している (2) で その直径は 横に 40% 程度 圧縮され その時 縦方向に 4% ほど伸びる現象が見られる。その後 ボールは (4) で 横方向に伸び さらに (6) で 縦方向に伸びるように変形しているが その変形の程度は 縦横に 2% 前後 伸縮している。この変形は ボールのコンプレッションの影響を受けるはずだが 2017 Pro V1 / V1x のコンプレッションは それぞれ upper 80s、high 90s などと言われる。ただし、タイトリストは 公表していないし 計測方法に 共通の規格がないので 各メーカーのボールのコンプレッションは ある意味 単なる参考値だと言えよう。なお、ドライバー側の変形については トランポリン効果により 高反発になるなどと言われるが 少なくとも この画像を見る限り クラブフェース側の変形は 確認できない。

いずれにしても、コンプレッションの大きなボールは この変形が 相対的に 小さくなり その結果 打感も 普通は 硬くなる訳だ。一方、パットや チップ ショットなどでは ボールのこのような変形は 殆んど起きないが ボールによって その打感には 大きな違いがある。つまり、パットや アプローチ ショットの打感には コンプレッションとは異なる物質の硬度が関与しているのである。

ショアD (ShoreD) 硬度


それは デュロメータと呼ばれる計測機器によって測定される硬度で ショアA とか ショアD という指標で示される物質の特性である。中でも ショアD (ShoreD) 値は 一部でボールのカバーの材料のスペックとして表示されるようになっている。このシステムは 規定で定められた形状の圧子(押針)で 試験片に 圧力をかけ 圧子の押込み量を 0 ~ 100 に等分して示すものである。目盛が 100 の時、試料の押し戻す反発力は 最も高く (相対的には 値の大きい方が) 硬いということになる。当然のことながら 物質の硬さを数値化しようとする場合 定義の仕方により その数値は 様々な値を取り得る。硬さ試験に 多くの方法があるのは 対象となる材料の材料特性により 変形を与える力に対する変化や挙動が異なり、また、硬さ試験によって評価しようとする材料の性能項目が異なるので 使用目的に応じて 様々な測定法が開発され 使われるようになったからである。

以上のような状況を背景に 様々な コンプレッション、ショアD値のボールが 市場には 出回るようになっているが 一般 ゴルファーには その意味するものが何なのかが分かり難い状況が生まれている。フル ショットの打感に影響を及ぼすのが 基本的には コンプレッションで、パットや アプローチ ショットの打感に影響を及ぼすのが ショア値だと言えるが 多層構造 もしくは 同様な特性のコア / ケースのボールがあるので 簡単に説明できないと言うことだ。

また、ボールの硬さに関連する概念に ディスタンス系、スピン系というボールの分類があるが これも分かり難い概念である。ディスタンス系は 硬いボールで スピン系が柔らかいボールだと思っている人も 少なくないだろうが、普通は アプローチで スピンがかかる柔らかいカバーのスピン系のボールは 硬めのコアで反発力を確保し、ディスタンス系のボールは ドライバーのスピン量を減らす目的で 柔らかいコアとし 硬いカバーで反発力を確保する仕組みなのである。

最近のトレンド


ボールの構造
ゴルフボールは 右図のように 安価な A. ツーピース ボールと ツアープロも使っていて 少し値の張る B. マルチ レイヤ― ボールの 二通りに 分類される。特に、マルチ レイヤ―のボールの出現と ボールの製造に使用される素材の改良や新素材の開発によって ボールの性能や品質は 飛躍的に向上した訳だが 同時に 様々な打感のボールを製造することが可能になっている。そうした中、近年は 物質の硬さを示す尺度で見て柔らかいボールが数多く出回るようになっており、今までのディスタンス系、スピン系、ボールの硬さなどの概念も 大きくかわろうとしている。例えば、2015年に発売になったキャロウェイのクロムソフトは コンプレッションが 65 という マルチ レイヤ―のボールで 極薄ソフト・ウレタンカバーを使用した ボールであるにも拘らず プロのようなヘッドスピードで打っても飛ぶボールなのだ。こうしたボールでは 反発力が落ちて 飛距離が出ないというのが これまでの常識だったが それを完全に打ち破った形である。ただし、その後発売された 2016、2017年モデルのコンプレッションは 65 よりは 大きくなっているようだ。いずれにしても、平均的なアマチュア・ゴルファーにとっては プロが使うような コンプレッション 90 ~ 100 のようなコンプレッションの硬いボールでは インパクトで ボールを十分につぶしきれないために スピン量が多くなって飛距離が落ちた訳だが こうしたボールを使えば 最大限の距離を確保できる可能性があると言えよう。

同じく、2015年に キャスコから発売された ウイルソン DX2 ソフトは コンプレッションがなんと 29 というから驚きの柔らかさだ。さすがに ここまで 柔らかくなると 男性ゴルファー用としてではなく、女性ゴルファーや ジュニア ゴルファー向けかとも思われるが、柔らかいボールの極めつけである。他にも、近年発売された柔らかいボールには ブリヂストン エクストラソフト、ダンロップ ゼクシオ SUPER SOFT X などがある。

なお、飛距離と言うと ドライバーの飛距離に目が行きがちであるが アイアンの飛距離が ボールのスペック(各層の厚み、硬度、比重などの組み合わせ)によってかなり変わってくるので クロムソフトのようなボールに変える時には その点にも注意をする必要がある。今までのクラブの番手と飛距離の関係が変わってくる可能性もあると言うことだ。補足になるが、ディンプルの数は 通常 300 ~ 500 だが、最近の傾向は 浅いディンプルで その数が少な目になっているものが多くなっている。ディンプルは 浅めで 数を多めにすると ボールが高く上がる傾向があり、ハードヒッター用には ディンプルの数を少な目にするのが効果的。ボールの硬さだけでなく そうしたことも自分に合ったボール選びの基準にすると良いでしょう。色々な ゴルフボールを 実際にチェックしたい方は こちら。

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