トム・ワトソンの記録
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• はじめに |
• 2009年 全英オープン |
• キャリア・レコード |
• 幻の大記録 |
♦ 2009年 全英オープン
そのマスターズの前年の 2009年・全英オープンでは 59歳(60歳に 2ヶ月)のトム・ワトソンが 2 アンダーで 72ホールをホールアウトし、同スコアで 先にホールアウトしていた スチュアート・シンクとのプレーオフをする結果となった。最終日の 18番ホールでの痛恨のボギーは 当に セカンド・ショットでのラブ・オブ・ザ・グリーン(不運としか思えないグリーン手前でのボールのキック)の結果だった。残念ながら 59歳のメジャーチャンピョンが誕生することはなく プレーオフで敗れた ワトソンは 前人未到の大記録に今一歩という形で トーナメントの幕は下りた。それでも、二日目に タイガー・ウッズが予選落ちし、全英オープンの視聴率低下が気になる状況下 ワトソンの活躍は 世界中のゴルファ-の目をテレビに釘付けにした。
♦ キャリア・レコード
ワトソンは ミズーリ―州・カンザス・シティ生まれで 地元の高校を卒業後 スタンフォード大学に進学し 心理学の学位を取得した。大学では ゴルフだけでなく 卓球のチームにも所属していたそうだ。1971年に プロに転向したが 暫くは勝てず PGA ツアー初優勝を果たしたのは 1974年だったが、翌年の全英オープンでは 初のメジャー優勝を果たすことになる。若い人には あまり馴染みのない選手かも知れないが ワトソンは 71回のツアー優勝という素晴らしい記録の持ち主である。その内訳は PGA 39勝(内メジャー優勝 8回)、チャンピオンズ・ツアー 14勝、日本ツアー優勝 4回、その他 14勝 という内容だ。彼の絶好調時は 記録で見ると 1970年代後半から 1980年の前半で 二クラウスの力が 少し落ちてきた頃だが、何と言っても 全英オープン 5 回優勝という記録は Harry Vardon の 6 回の記録に次ぐ、歴代第ニ位の記録である。
トム・ワトソンの メジャー 8 回優勝の記録は 歴代第六位であるが 全米プロに勝っていれば グランドスラムを達成出来た訳で 大変な記録である。残念ながら 全米プロには勝てなかったが グランドスラムを達成できなかったゴルファーの中でも 最も それに近いところまで行った選手だと言えるだろう。特に 1982年に ぺブル・ビーチで行われた全米オープン最終日、ジャック・ニクラウスとの接戦となった終盤 17番のショートホールでチップ・イン・バーディーを決めて接戦を制したショットは 多くの人の記憶に 今でも残っている名場面の一つであろう。
メジャー 8回優勝の記録 |
マスターズ |
1977年 / 1981年 |
全米オープン |
1982年 |
全英オープン |
1975年 / 1977年 / 1980年 / 1982年 / 1983年 |
一方、シニアの記録は ミュアフィールド (Muirfield Golf Links) で行われた 2007年の全英シニアオープン (Senior British Open Championship) で優勝しており、加えて、2003年 と 2005年の全英シニアオープンでも優勝している。このように 計三回の全英シニア優勝を飾っていることからも分かるように リンクス・コースを得意としている選手だ。 全英オープンのお話
♦ 幻の大記録
ところで、メジャー優勝者の最年長記録は 48歳 (Julius Boros - 1968 全米プロゴルフ選手権) だから 2009年の全英オープンに もし ワトソンが優勝していたら 最年長の記録が大幅に書き換えられていたのだ。加えて、全英オープン優勝 6回(歴代 1位タイ)、メジャー優勝 9回(歴代 3位タイ)など、ものすごい記録が生まれていた訳だ。三日目が終わった後のインタビューで彼は 3日目もゲームプランの通りプレーしたが 最終日もゲームプラン通りにプレーするだけだと語っていた。ただ、そのワトソンも プレーオフのゲームプランまでは用意が出来ていなかったようで 残念でならない。とは言え、59歳のトム・ワトソンが世の中の 50才、60才代のゴルファーに夢を与えたことは 間違い。