タイガーウッズ 私のゴルフ論 (上)
タイガーウッズ
私のゴルフ論 (上)

タイガーウッズ 私のゴルフ論 (下)
タイガーウッズ
私のゴルフ論 (下)
 
タイガー・ウッズの試合データ分析
 
2010年のフェデックス・カップ 第三戦の BMW 選手権 (15位タイ) が終わり、フェデックス・カップ最終戦であるツアー選手権への出場権 (30位以内) を失ったタイガー・ウッズのシーズンは ほとんどこれで終わった訳だが、その試合データを見ると 過去に類を見ない惨憺たる結果であったことが分かる。下表は 2000年から 2010年までの ウッズの試合のデータを 纏めたものである。

 
平均スコア
パーオン率
フェアウェーキープ率
平均パット数
2000年
67.79
1位
75.2%
1位
71.2%
54位
28.76
36位
2001年
68.81
1位
71.9%
5位
65.5%
145位
29.25
134位
2002年
68.56
1位
74.0%
1位
67.5%
107位
29.41
163位
2003年
68.41
1位
68.6%
26位
62.7%
142位
28.63
32位
2004年
69.04
4位
66.9%
47位
56.1%
182位
28.44
20位
2005年
68.66
1位
69.9%
6位
54.6%
188位
28.70
33位
2006年
68.11
1位
74.2%
1位
60.7%
139位
29.38
137位
2007年

67.79

1位
71.0%
1位
59.8%
152位
28.93
48位
2008年
67.65
1位
71.4%
1位
57.9%
169位
28.65
20位
2009年
68.05
1位
68.5%
16
64.3%
86位
28.44
22位
2010年
71.07
26位
64.1%
153位
57.2%
160位
29.07
62位
(出典: PGA Website - 2010年 9月 14日の STAT データより)

2000年には 他を まったく寄せ付けなかった タイガー・ウッズだが 2003年頃から 多少 調子を落とし、2004年には ワールド・ランキングでも 一位の座を 一時 ビジェイ・シン (Vijay Singh) に譲る形となったスランプの時期があった。そんな中、1993年からコーチだったブッチ・ハーモン (Butch Harmon) 氏との関係を清算し、ハンク・ヘイニー (Hank Haney) 氏にコーチを依頼し、そのスイング・プレーンを 少しフラットに改造したという経緯がある。ただし、ハンク・ヘイニー氏との関係も 2010年 4月に解消し、現在は コーチ不在の状況。

コーチを変えたことが功を奏したかどうかは定かでないが、2005年から タイガーは復調した。データからも分かるように 2004年が ターニング・ポイントになっているのは明らかだ。2005年には マスターズと全英オープン、そして、2006年には 全英で連覇を果たした後、全米プロ選手権でも優勝し、2007年には その全米プロを 連覇した。さらに、 2008年の全米オープンでは 膝の怪我にも係わらず プレーオフの末 優勝した。そして、その膝の手術のため 半年以上休養することになったが、そうして戦った 2009年は メージャー大会優勝こそなかったものの 年間 7勝と そこでも 完全に復調したと思われた。しかし、2009年末に その状況が 一変することになった。所謂、不倫騒動である。

その不倫騒動に端を発し、2010年は 離婚に係わる親権や慰謝料などの話し合いをする傍らに 試合を行うという状況だったであろうが、活動休止から復帰後 四回のメージャーとフェデックス・カップの三戦 の全てにおいて満足の行く成績を納められなかった。平均スコアは 彼のそれまでの平均スコアを 約 3打も上回り 上の表の通り 71.0 を上回った。

試合後のタイガーのインタビューを聞くと 如何にもパットが悪い印象を受けるが、データを見る限り パーオン率の低下、即ち、アイアン・ショットの切れがなくなったことが第一の原因だ。パットは決して良いとは言えない状況だが、平均パット数 29.07 は 62位ということで、過去には 100位以下だった年も何度かある位だから、2010年に限ったことではない。ただ、パット数は パーオン率が高いと多くなる傾向があるもので、パーオン率が悪く、パット数も悪いという年は 2010年が始めてで、そうした意味では、パットが悪かったと言うことも 多少は あるようだ。

因みに、2010年を 除くと タイガーの平均スコアが 69 を 上回ったのは 2004年だけだったが、その年 特に 悪くなったのが パーオン率だ。2000年に 75.2% (1位) と素晴らしかったパーオン率が、2004年には 66.9%で、ランキング 47位にまで落ちたのだ。比較をしても仕方ないような観もあるが、2010年は パーオン率が 64.1% (153位) で、平均スコアが 71.07 (26位) と言う状況で、まったく別人のデータを見ている観がある。

いずれにしても、ウッズの強みは(パーオン率が悪い年でも 平均スコアは 1位になるのが常であったから) セーブ率が 高いと言うことだ。とは言え、2003年から 2005年に悪かったパーオン率は その後 大幅に改善された。一方で フェアウェイキープ率は 最悪だった 2004年、2005年 の状態から 少しは 改善したと言えるものの、2008年までは、ランキングで 100位以下と言う悪い状態が続いていたのであり、2010年が 特別 悪いとも言えないのである。

最後になるが、彼のドライバー飛距離は 2004年に 301.9ヤード (9位) であったものが、遅まきながら 2005年に スチール・シャフトをやめて 一気に 316.1ヤード (2位) と 飛ばすようになったが、その後は 2006年に 306.4ヤード (6位)、さらに、2007年には 302.4ヤード (11位) と距離を抑え気味にプレーをしており、近年は 295ヤード前後で、ランキングでは 30位前後のレベルになって かつての 飛ばし屋のイメージはなくなった。近年、飛ばし屋的な存在で知られる選手には ロバート・ガリガス (Bobert Garrigus)、ババ・ワトソン (Bubb Watoson)、ダスティン・ジョンソン (Dustin Johnson) J.B. ホームズ (J.B. Holmes) など居り、データで見ると 310ヤード 前後の平均飛距離で、これらの選手は タイガーウッズを 15ヤードほど アウト・ドライブしていることになる。