(1) 1 打罰:球が動いた理由によって また その程度によって処置の仕方と罰則は異なるが プレーヤー自身が誤って球を動かしてしまった場合は 原則 元の位置に球を戻して 1 打罰でプレーをすることになる。実は ゴルフでは実際に球が動いていても ルール上は球が動いたと判定されないケースがある。それは 球の振動や揺れ、即ち、アドレスをして球がクラブフェースの方に少し傾くような状況で 物理的には球が動いていたとしても ソールを浮かせれば元の位置に戻るような小さな球の動きである。英語では それを oscillate と言う単語で表現するが 昔からルール上 そうした球の動きをペナルティーに該当する動きではないと定義してきた。また、2014年のルール改訂では HDTV などで球が動いたことが確認できても 裸眼で合理的にそれを認識することができないような小さな動きであれば ルール上の裁定は動いたことにはならないとなった。しかし、このクイズでは 1 cm 程度 球が動いた後に止まったのをはっきり確認したと記述されている訳だから 今 説明したルール違反にならない球の動きには該当しない。また、球を動かしてしまった時の罰則には 後述する例外規定もあるが それに該当する状況も見当たらない。従って、1 打罰で球を元の位置に戻してプレーすることになる。なお、ここで 球を元の位置に戻すことを怠ってプレーしてしまうと誤所からのプレーになり 2 打罰が課される。ただし、その場合は 誤所からのプレーに対するペナルティが課されるだけで トータル 3 打罰になる訳ではない。
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(2) 無罰だが動かす前の状態を再現:ルールには プレーヤー自身が球を動かしてしまっても罰が課されない 例外規定がある。a) 球を捜す行為、b) 球をマークする行為、c) グリーン上で 一度マークした球がその例外に該当するが、a) に関して 旧ルールではバンカーの砂、ウォーターハザード(新ルールのペナルティーエリア)の水、障害物、異常なグラウンド状態(新ルールの異常なコース状態)の中にある球に対してのみ認められるとなっていたが、新ルールでは 全てのエリアに適用される。旧ルールでは 例えば ラフの中にある球を探している時に 球を動かしてしまうような行為に この例外規定は 適用されなかった。一方、2019年からの新ルールでは ラフの中にある球も含め 如何なる場合でも 球を探している時にうっかり球を動かしてしまうことに対して この例外規定が適用されるようになった。また、ソールをしたり素振りをしたタイミングで球が動いた場合に 旧ルールでは 動いた原因がプレーヤーにあるとは 考え難くとも 少しでもその可能性があればペナルティーになった。その点についても 2019年からの新ルールでは変更され、動いた原因がプレーヤーにあるとは考え難いケースのプレーヤーに対する罰則はなくなった。
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(3) 無罰:既に説明したように 球を動かしてしまった場合の罰に対する例外規定には球をマークする行為が含まれるので無罰である。ところで、球を打つ前の所作やアドレスをした時に 誤って球を動かしてしまえば 原則 1 打罰が課され 球を元の位置に戻してからプレーをしなければならない訳だが、2019年からの新ルールでは グリーン上の球に限られるものの プレーヤーが誤って球を動かしてしまう行為は 理由に関係なく 罰は課されなくなった。単に 球を元の位置に戻してプレーをすれば良くなった。また、ご存知かもしれないが、2019年からの新ルールでは グリーン上での禁止行為である a) パットのラインに触れる行為、b) グリーン面のスパイクマークの様な損傷の修復、c) 旗竿を残したままのパットなどが禁止行為ではなくなるので グリーン上では殆んどルール違反を気にせずにプレーが出来るようになった。
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(4) 無罰で球が止まった所からプレー:旧ルールでは 自然に動いた球は その球が静止した所からプレーすることになっていた。しかし、2019年からの新ルールでは一度マークしたグリーン上の球に限り 自然と動いてしまった場合でも 球は元の場所に戻してプレーする必要がある。ただし、マークをする前の球が動いた場合は 旧ルール同様 球が新たに止まった所からプレーする必要がある。ところで、ルールでは球が動いた理由を a) 自分、b) 自然、c) 外的影響 のいずれかに起因するものとし 処置の仕方と罰則を定めているが、外的影響 (outside influence) にはチームプレーのパートナー以外の同伴競技者、その他競技者やそれらのキャディー、観客、動物、鳥、風で飛んできた来た物体、他のプレーヤーの球などが含まれる。外的影響 (旧称 局外者) によって動かされた球は ルールの新旧を問わず 球を元の位置に戻してプレーをする必要がある。
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