スピン・コントロール

ゴルフボールのバックスピン量は ヘッド・スピード、ロフト、ダウンブローの度合い、道具（ボール 並びに クラブフェースの表面粗度とグルーブ）、気候などの条件によって決まる。一般的に、スピン量を意識してプレーをしている人は かなりの上級者という事になるだろうが、100 前後のスコアのゴルフをしている人でも スピン・コントロールに関する知識を深めることで ゴルフは 一層楽しくなるはずだ。

バックスピンの良くかかったボールは グリーンに落ちてすぐに止まるから、グリーンにボールを乗せて ピン傍にボールを止める手段として 上手く使いたいものである。グリーンに落ちてから止まらないボールでは グリーン手前にボールを落とす必要があるなど（バンカーなどでプロテクトされたグリーンでは特に）ピンを狙うショットが難しくなるのは言うまでもない。

ショート・アイアンやウェッジのフルスイングで打つような場合、バックスピンは ターフをきちっと取るような打ち方をすればかかる。普通は スピンが良くかかっていれば、ボールは高く上がるものだが、フィニッシュを低く取るような打ち方、所謂、ノックダウン・ショットをすれば、スピンがかかった低いボールを打つことも出来る。テニスや卓球のカットショットの原理で スピンをかけながら 低い弾道のボールを打てば、風の影響を受け難い というメリットもある。加えて、ラインを出して イメージ通りに 打ち易い というメリットがあるので、サンドウェッジや ロブウェッジを使って バックスピンの良く利いたボールで ダーツのように ボールを落下したところに ピタッ と止めることも出来る。そうしたショットを 好んで使う上級者は少なくないが、それが レパートリーに加われば 100ヤード以内のショットのバリエーションは 一気に広がるはずだ。ただし、通常は ピンを狙って打っていけば良いショットでも 硬いグリーンの場合は いくらスピンがかかっていても 止まらないことがあるから、その使い方については 気を付ける必要がある。 » 色々なノックダウン・ショット

一方、チップやピッチショットでのバックスピンもプレーに大きな影響を及ぼす。通常、スピンの量は コックの使い方でコントロールする訳だが、コックをより効かせてダウンブローに打てばバックスピンの良くかかったショットが打てるはずだ。（ただし、コックは リリースしないで ボディーターンを使って打つのがコツ。）ロブウェッジでボールを右足の前に置き、コックを効かせたチップショットをすれば 低く出てすぐに止まるようなチップショットも打てるが、チップショットではバックスピンをかけるメリットがないような場面が多く、そうした場面では（ボールの挙動を正確に予測し難いし、少しの打ち損じでボールはターゲットから大きく外れる可能性が高いから）出来るだけ 避けたいショットである。 » バックスピンで止まるチップショット

スピンの良く効いたボールを使う場合に 良く覚えておかないといけないことは、グリーンのコンディションとのマッチングの問題である。いくらスピンをかけても、グリーンが硬いとボールは止まらないし、逆に、柔らかいグリーンでは ボールが大きく戻ってくるというような現象も起きる。グリーン上にボールマークが付かないようなグリーンでは スピンでボールが止まらない訳だから、攻め方を考える必要があると言うことだ。また、タイガー・ウッズのようにヘッドスピードの速い選手は、スピンがかかりすぎて悪影響を及ぼしてしまうケースもあるので、場合によっては、フルショットを避けて打つようなテクニックを使うことが有効な場合もある。（タイガーは、このスピンコントロールの能力において、他のプロに差を付けていると言われている。）

なお、ゴルフボールには、サーリンカバー（通常、ツーピースのボール）とウレタンカバー（通常、多層構造）の 2種類があるが、サーリンカバーのボールでは スピンがあまりかからないので、スピンの良く効いたショットを打ちたければ、まず、ウレタンカバーの柔らかいボールを使う必要がある。ボールの宣伝文句には スピンと距離の両方に優れたボールなどと書かれたものが多いが、基本的にサーリンカバーのツーピースボールでは、ソフトサーリンなどと書かれたものでも スピンの量は 極端に低くなると考えるべきだろう。 » ボールについて 詳しく知りたい方は こちら。