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タイガーのマスターズ・ルール違反騒動|ルール解説

2013年マスターズの第三ラウンドに事件は起きた。15番のロング・ホールのサード・ショットで打ったタイガー・ウッズのショットが ピンを 直撃し、ボールは後ろに跳ねてウォーター・ハザードに入ってしまった。そして、その救済には 以下の (1) (2) (3) 三つの選択肢があった。

15番ホールでの出来事

即ち、次のショットは 1打罰の下に (1) ハザード・ラインを横切って入った点 と ピンを結んだ 後方線上から、(2) 救済用のドロップ・エリアが設定されていれば、そのエリア内から、(3) もう一度同じ場所から打ち直し(ストローク・アンド・ディスタンス)でプレーするという選択肢だ。ウォーター・ハザードが ラテラル・ウォーター・ハザード(赤線で示されたハザード)の場合は、ハザード・ラインを横切って入った点から ホールに近付かない 2 クラブ・レングス内のエリアからのプレーも許されるが、その選択肢は この時なかった。

タイガー・ウッズは (1) (2) の選択肢に該当するエリアのライが強い逆目で あまり好ましいとは 思えなかったことから (3) の選択肢でプレーをしたが、その時にルールに違反するミスを犯してしまった。つまり、右の動画のように 前のショットをした場所より 2ヤード程後ろにボールをドロップして第 5打目を打ったのだ。

規則 27-1 a(ストロークと距離に基づく処置)には「いかなるときでも、プレーヤーは 1打の罰のもとに、初めの球を最後にプレーした所のできるだけ近くで球をプレーすることができる。 」と記されているが、そのストロークと距離の選択をしたのである。

しかし、2ヤード程後ろにボールをドロップして第 5打目を打ったことが、後になってテレビの視聴者から指摘され 判明し、競技委員会は 協議の結果 翌日のスタート前に(スコアの過少申告による失格ではなく)2打罰の処置を宣告した。競技委員会は失格にすべきだとか、タイガーは自主的に 競技を ウィズドゥロウすべきだなどの意見もあったが、最終日をプレーし、4位タイの成績に終わった。

この事件では 様々なことについて考えさせられるが、まず、第一に、規則 27-1 a のプレーヤーは 1打罰のもとに 初めの球を最後にプレーした所のできるだけ近くで球をプレーすることができる (a player may, under penalty of one stroke, play as nearly as possible at the spot from which the original ball was last played) という文言とその解釈の問題である。タイガーは(多分、意識的に)2ヤードほど後ろに下がったが、それに対するルール違反の意識があったか否かは定かでない。

豆介の豆知識
タイガーは 最初に打ったボールより 3-4 ヤード程度 短いボールを打てばパーフェクトだと判断した節があり、その分だけ後ろに下がって同じショットをすれば良いが、それではルール違反になるので、2ヤード程度であれば許される範囲内であろうと勝手に判断した可能性が考えられる。タイガーほどの選手がルールを熟知していないはずはなく、多分に 2ヤード、または 1クラブレングス程度であれば許される範囲なのだという感触のようなものを過去の経験から持っていて 意図的に行った(違反という意識のない)ルール違反のように思われる。PGA の他の選手も 同様な感触でプレーしていた選手は 少なくはないのではなかろうか。(豆介の想像より)

例えば、これが 1ヤードだったら 周りで見た人のルール違反に対する見解、そして、競技委員会の裁定はどう変わっただろうか。通常、自分の作ったディボットを目がけてボールをドロップする人は少ないはずで、それを 30センチ程度外したのであれば(意識したしないに係わらず)まず ルール違反だとクレームする人は居ないだろう。

こうしたことを考えれば、ルールにわざわざグレー・ゾーンを残すような文言を使っていること自体を変えるべきだという考えに行きつくのが自然の成り行きではないだろうか。つまり、一般的な救済の処置同様、救済の二アレスト・ポイントから 1 クラブ・レングス内で、しかも、ホールに近づかない場所のような文言にすべきだと言うことである。

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