ウィリアム・フリン設計のゴルフコース

2015年の全米女子オープン選手権｜U.S. Women's Open が行われている ランカスターカントリークラブ｜Lancaster Country Club（» コース詳細）は アメリカ東海岸の都市、フィラデルフィア (Philadelphia) から西に約 125km ほど 車でドライブした所にある ランカスター市にある歴史ある（1900年設立）カントリークラブである。その女子オープンで使われる フリン・コース (Flynn Course) は 数々の名門ゴルフコースを設計した ウィリアム・フリン (William Stephen Flynn) が デザインした素晴らしいコースだ。

そんなランカスターカントリークラブのコースは 彼の代表作の一つだが ウィリアム・フリン (12/25/1890 - 1/24/1944) の代表作には 以下のような より知名度が高く、ランキング上位のコースがある。

　(1) Shinnecock Hills Golf Club
　(2) Merion Golf Club - East / West Course
　(3) Cherry Hills Country Club
　(4) The Country Club (Brookline, MA)

2013年・全米オープンが行われた メリオン・ゴルフクラブ (Merion G.C.) のイースト・コースが建造されようとしていた 1909年、ウィリアム・フリンは コース設計家のヒュー・ウィルソン (Hugh Wilson) に雇われ、ゴルフコース建設の仕事に携わるようになった。その後、フリンは その一生をコース設計の仕事に捧げることになったが、メリオン・ゴルフクラブの設計と建造の仕事には 何と 通算 25年という長期間に亘って携わることになった。このコースの設計者は 通常 ヒュー・ウィルソン氏とされているが、フリンは 1925年には他界してしまった ウィルソン氏とコース設計の会社を設立し パートナーシップを組む予定だったというほどの関係になって メリオンの設計の仕事に従事した訳で、共同設計者という位置付けだったようだ。

一方、フリンが設計したコースの中で 最も評価の高いのは、1937年に完成したニューヨーク・ロングアイランドのサウサンプトン (Southampton) にあるシネコック・ヒルズ・ゴルフクラブ (Shinnecock Hills G.C.) のコースだが、他にも、メジャー選手権、ライダーカップなどが行われているので 知っている人が少なくないと思われる デンバー郊外のチェリー・ヒルズ・カントリークラブ (Cherry Hills C.C.) や ボストン郊外のザ・カントリークラブ (The Country Club - Brookline, MA) なども フリン氏が設計した超一流コースである。下のビデオは、2013年・全米アマが行われた時に作成されたザ・カントリークラブの紹介ビデオである。

チェリー・ヒルズ（コロラド州、デンバー郊外）のようにアメリカ東部以外のコースも フリン氏は幾つか設計しているが、その殆どは ペンシルバニア、メリーランド、バージニア、ニュージャージー、ニューヨーク、マサチューセッツ州を中心に 東部に集中している。

東部と言ってもバージニア州より南の地域とペンシルバニア州より北の地域では、芝の種類も異なるし、コースの雰囲気も 異なるものである。因みに、北東部のコースの芝は 冬の寒さが比較的厳しく、寒地型芝草の ケンタッキーブルーグラスをベースに トールフェスク、ペレニアルライグラス、ベントグラス、ファインフェスクなどが混ざっているのが普通。プレイアビリティーは その芝の密度と腰の強さによって 異なってくるが、前述のような 寒地型芝草の混合芝では 然程 深いとは思えないのに クラブが抜けない 所謂 スティッキーな芝になる。そうしたコースで フェアウェイを外すことのペナルティーは 想像 以上に高いものだ。ましてや、全米オープンのように 4 - 6 インチのラフとなれば、アマチュアには 全く歯が立たないものになる。アメリカ北東部には そんな芝のコースが多いが、フリン氏がデザインしたコースを含め、評価の高いコースは 実は アメリカ北東部に集中しているのである。

因みに、Golf Digest 誌の 全米ベストコースのランキング 2015年版で シネコックヒルズは第 4位、メリオン・イーストコースは第 5位にランクされている。なお、フィラデルフィア郊外の 世界ナンバー・ワンのコースと言われる パイン・バレー (Pine Valley G.C.) のコース改修工事のデザインも フリン氏は手掛けている。 » 参考